- 日時: 2017年 7月29日(土) 14:00 開始 16:00終了予定
- 場所: 湘南高校 歴史館スタジオ
- テーマ: 「徒然草」で楽に生きる
- 講師: 山田 (森重) 喜美子 氏 (全45回生)
- 対象: 湘南高校 卒業生、在校生、教職員
- 参加費: 無料
- 事前申込: 不要
.
.
【講演内容】
「徒然草」と言うと、古文の教科書で読んだとか、最近「人生論」ブームでちょっと注目されているというイメージをお持ちかもしれません。
作者の兼好は、今から700年前、鎌倉時代後期から、幕府滅亡、南北朝動乱の時代を生きた人です。しかし「徒然草」には戦乱の影はありません。時代の中枢にいた人たちと交流があったにもかかわらずです。
なかなか謎の多い人物ですが、彼の書いている事は、いつの世も変わらぬ、世間の人付き合いの難しさ、真偽の不確かな噂話への対処法、いつ来るか分からない死にどう立ち向かうか・・・・ 昔も今も人を悩ませる普遍的な難問です。
兼好は、こうした問題を、ああでもない、こうでもないと論じています。「徒然草」は、兼好の悩みの軌跡を記したものと言えましょう。
また、彼の墓所は明らかになっていませんが、「徒然草」こそが、兼好の墓なのだと言っても良いだろうと思います。
「徒然草」は彼の死から250年ほど経た江戸時代に入って、ベストセラーになりました。
戦乱を経て平和な時代になって、人々が文化を求めたから、また出版技術が発達したから等の理由もありますが、勝たないけれど負けない生き方、芸や学問に打ち込む生き方、老いての身の処し方など、兼好の提案の多くが、人々に迎え入れられたからだと思います。老後が長くなった現代でも、他人事ではないでしょう。
楽に生き、安心して死ぬために、「徒然草」は役に立つ指標になることでしょう。
.
【講師紹介】
出版社に勤務の後、フリーエディターとして「東海道五十三次ハンドブック」「奥の細道の旅ハンドブック」等を企画・編集。
2000年 博士後期課程単位取得退学。専門は初期俳諧。
2005年 オープンカレッジで「おくのほそ道と芭蕉」の講師を務め人気講座となり、以後「徒然草」「百人一首」などを担当。