発刊に寄せて   
湘南高校長  齋藤俊英

  昭和32年に始まった浦和高校との定期戦は、今年45回目を迎えます。 この定期戦は、浦和高校の「尚文昌武」、湘南高校の「文武両道」を掲げて競う、両校の大変すばらしい伝統となっています。 先輩たちは、この定期戦について、母校の名誉のために全力を尽くし、互いに競い、応援し、友情を深め合った、青春時代の思い出として熱く語ります。はじめて他校の生徒たちと出会い、競い合う中で、湘南生としての連帯を強く感じ、母校愛がかき立てられました。 そして、この貴重な体験が、卒業後もさまざまな場面で浦和高校の卒業生との交流を生んでいるということです。 両校の事情は、この44年間に、大きく変わってきたところもあります。 例えば、男子校である浦和高校に対して、本校は共学校として男女比がほぼ半々となっています。 そうした中で、いままでも度々廃止が叫ばれながら、アンケートを取ると、その都度、存続が廃止より多数を占めて定期戦は続いてきました。 それは、時代の変化にあわせて定期戦を変えてきたからでしょう。 これからも両校が創意と工夫をした定期戦を作り、後輩たちに伝えていってほしいと思います。

  PTAの中で、浦和高校との定期戦を担当している体育委員会の委員の方々が、在校生たちの関心を高めようということで、この冊子を作りました。 湘南高校創立80周年のこの機会に、本校の特色ある伝統行事についてその記録を発行することは大変に意義のあることです。 また、在校生はこの冊子を読んで、改めて定期戦の意義を認識する機会としてほしいものです。



「切磋琢磨」し「浩然之気」を養う   
浦和高校長 倉橋政道

  昨年5月、44回目の「湘南高校・浦和高校交歓定期戦」が行われました。 4月に浦高に着任した私にとっては、初めての経験であり、湘南高校に到着して、広大で綺麗なキャンパスに、まず圧倒されました。 また、両校併せて約2000名余りの生徒がグランドに集い、全校対決が始まった時は、力強い感動を覚えました。 その後、運動部の対抗戦、文化部の発表・交歓会、クラス対決などが繰りひろげられ、両校の生徒同士が打ち解けあって談笑している姿に接して、この行事の意義を深く認識する事が出来ました。

  本校の百周年記念誌によりますと、「第1回目は、昭和32年10月、湘南高校の生徒職員500余名を北浦和駅頭に迎え、午前10時、浦高グランドで開会式が催された後、熱戦の火蓋が切られ、応援には若人の意気が揚がって大層盛況だった」と記されております。 このように、二県にまたがる高校間の行事が44年間も継続されているのは、全国的にも珍しいようです。 在校中は3回だけのふれ合いでありますが、卒業後社会人となって、出身高校がお互いに湘南・浦和とわかると、この交歓定期戦が話題となり、商談などがスムーズに進んだ例がある、とも聞いております。

  「両虎相闘」という言葉があり、この場合は、二人の英雄がともに闘い、結果は共倒れになることを言います。 湘南・浦和という二大勢力が闘って共倒れになっては元も子もありませんが、「両虎相闘」する中で、今後も、この交歓定期戦を通して、 お互いが励まし合い、刺激し合って、文字通り 「切蹉琢磨」し、さらに、天地にみなぎる強く正しい気力、即ち「浩然之気」が養われるよう祈念しております。




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