第57回 湘友会セミナー報告

日時: 平成29年 9月 2日(土) 14:00~16:00
場所: 湘南高校 歴史館
テーマ: 私が運転免許を返納する日

講師: 赤松幹之 湘南高校49回生
所属 産業技術総合研究所自動車ヒューマンファクター研究センター首席研究員
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講師の赤松幹之さんは、この報告書を作成した私 (50回生 坂井) の 1年先輩であり、当時 (高校時代) の物理無線部ラジコン班の 1年先輩にもあたります。 赤松さんの専門分野は、人間工学ですが、赤松さんは、その専門分野を国の研究機関である産業技術総合研究所筑波大学およびトヨタ自動車など民間の企業の中で活かされ今に至っています。
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【人間工学とは】
人間工学なるものを定義すると、「ヒトの特性に適合した製品やシステムを作るための技術」となりますが、これは、人の特性を知った上で、それを使い製品やシステムを設計することになります。使う側の人間の特性を優先せずに、技術や性能を優先して設計やデザインをしてしまうと、簡単な例で言うと、カッコは良いが運転しづらい自動車のようなものが出来上がってしまいます。
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【自動車ヒューマンファクター研究センター と 自動運転】
赤松さんが所属している組織に関して説明していただきました。アメリカ・EC各国および日本では、最近、自動車の自動運転が注目されていますが、その研究は、50年以上前から綿々と行われてきたことを改めて知りました。また、自動車のハードウェアそのものだけではなく、自動車を走らせる環境を科学的に理解する必要性や自動運転の定義とそのレベルについても説明がありました。 これらは、「ヒトにとって自動運転とはいかなるものなのか?」を考える際に重要であり、それは以下の話題へと引き継がれます。
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【自動運転って何が出来て、何ができないの ?】
次に、自動車の自動運転とそれにかかわるヒトとの関係へと話が展開されました。説明していただいた内容は以下のとおりです。どの内容も実際に自動車を「自動で」または「半自動で」走らせるためには、正しく定義をしておかなければならない項目ばかりです。

  • 現在実用化され市販されている、部分的な自動運転機能に関する説明
  • 走りながら ヒトと自動車との間で運転機能を自在に切り替えることができるのか?
  • 完全な自動運転に頼って自動車を走らせている状況から、ヒトは自動車から運転を引き継ぐことができるのか?
  • 自動運転の自動車は、周りの環境と仲良く共存することができるのか?
  • 自動運転は、本当に楽しいのか?

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【高齢ドライバーの増加と事故の関係について】
自動車を運転するヒトが歳をとってくると、どのような問題が起こるのか? が、次の話題です。このような内容も人間工学と自動車という関係の中で取り扱う問題となります。実際に名古屋大学により収集されたドライブレコーダーの状況が、紹介されましたが、改めて見てみると、どうしてこんなことになるのだろう? と考えさせられる内容ばかりです。しかし、どの情報も実際に発生した高齢者の事例なので、ノンフィクションの迫力がありました。

  • 見ているつもりでも見えていない という 実際のヒヤリハット事例
  • 加齢により、操作が的確にできなくなる
  • 同時に 2つのことができなくなる
  • 夜間に弱い

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まとめ
セミナーのそれぞれの説明内容と話の進め方は、その道のプロフェッショナルを対象にした内容が下敷きになっています。従って、自動車の技術関係の仕事をしている一部のセミナー参加者にとっては、非常に内容の濃い講義となりましたが、一般のセミナー参加者から見た場合は、個々の話はわかるけど、全体として個々の話がどのように結びついているのかが少々分かりにくかったかもしれません。

P.S. 私にも運転免許を返納する日がくるのかな ? おそらく来ないでしょう。

(文責 50回生 坂井一敏)

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