- 日時: 2018年 1月20日(土) 13:30~15:30
- 場所: 湘南高校 歴史館
- テーマ: スポーツで横浜を元気に ~ラグビーワールドカップ(2019)、東京オリンピックパラリンピック(2020) への横浜市の取り組み~
- 講師: 西山 雄二 氏 (51回生)
【はじめに】
横浜市市民局長の西山です。平成20年から約10年間、スポーツ振興、大規模スポーツイベントに取り組み、横浜の活性化、横浜の世界への発信を進めてきました。
【世界卓球選手権 横浜大会 2009 (平成21) 年 4月~5月 】
新横浜の「横浜アリーナ」を会場に8日間開催され、146の国と地域から約1,500人の選手と役員が参加しました。総観客数は64,829人で、現在ほどの人気競技ではありませんでしたが、5月2日、3日は両日ともチケットが完売となり、大変な賑わいを見せました。
当時19歳の水谷準選手がダブルスで銅メダル、当時16歳の石川佳純選手がベスト8と、日本選手の活躍も目立ちました。
【世界こどもスポーツサミットin横浜 2009 (平成21) 年 6月~8月】
16の国と地域から参加した世界のこどもたちが、フェアプレーの精神にのっとり、よりよい未来づくりについて語り合い、その成果を「世界こどもスポーツ横浜宣言」としてまとめました。
この宣言は、スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会 (IOC) を訪れ、当時のジャック・ロゲ会長に直接お渡しするとともに、世界121各国・地域へ発信しました。
【世界トライアスロンシリーズ横浜大会 2009 (平成21) 年~】
世界トライアスロンシリーズは、オリンピックの無い年では最高峰の世界選手権で、ワールドカップよりグレードの高い大会です。横浜大会は、今回で9回目を数え、世界でも歴史のある大会となっています。
トライアスロンは、自然を相手にするスポーツであり、自然環境を大切にする取組を積極的に進めています。横浜港で水泳と聞くと驚かれる方も多いと思いますが、現在、水質については全く問題がない状況です。
このような大規模なスポーツイベントでは、選手やスタッフ、観戦者など多くの方々が滞在し、直接的な経済効果が期待できるため、スポーツを活用した観光まちづくり、スポーツビジネスにつながる取組も進めています。
【横浜マラソン 2015 (平成27) 年~】
市民参加型のフルマラソン大会として、横浜の歴史や港町ならではの景色、「横浜らしさ」を感じていただけるコースを国内外から集まった28,000人のランナーが横浜を走り抜けます。コース上に18か所に設置する給水所では、他のマラソン大会では見られないパフォーマンス (バーテンダー給水、サンバ給水) や、いつ何が出てくるか分からない横浜ならではの給食(ラッキー給食)を提供するなど、市民や地元事業者の皆様とオール横浜で「おもてなし」をしています。
【ラグビーワールドカップ2019™ 2019 (平成31) 年】
ラグビーワールドカップは117の国と地域のナショナルチーム世界一を決める大会で、オリンピック、FIFAワールドカップと並ぶ世界三大スポーツイベントの一つです。2019年日本大会は、9月20日から11月2日までの44日間。参加20チーム、日本全国12会場でプール戦40試合、決勝トーナメント8試合が行われます。開催会場の1つである横浜国際総合競技場は、2002年のFIFAワールドカップの決勝戦会場であり、同一会場で2つのワールドカップの決勝戦が開催されるのは、世界で2か所目、2020年にオリンピック競技が開催されますと、世界で唯一の会場となります。
2019大会はアジア初、ラグビー伝統国以外で初、7人制ラグビーがオリンピック種目に採用されてから初の大会で、約200万人が観戦、世界200を超す国・地域で放送され、約42億人が視聴すると言われています。
約40万人の外国人が訪日し、長期滞在を見込んでいます。その経済効果は4,200億円、雇用創出は3万9000人が見込まれています。
ラグビーワールドカップ特有の取組として、「ファンゾーン」があります。公共のエリアで大型スクリーンによる試合の中継を行うパブリックビューイングやラグビーの体験型のイベントを開催するなど、チケットをお持ちでない方にも楽しんでいただくための場です。2015年のイングランド大会では大変な盛り上がりを見せており、2019年でもこの場を活用して大会の盛り上げを行っていきたいと考えています。
昨年の11月4日には横浜国際総合競技場で日本代表対オーストラリア代表 (前回大会準優勝) が開催されました。この競技場で国際試合を開催するのは初めてで、残念ながら日本は負けてしまいましたが、観客数は日本代表戦で過去最高の43,621人を記録しました。
大会のマッチスケジュールが、昨年11月に発表され、横浜では、決勝戦、準決勝の 2試合、プール戦 4試合の計 7試合が開催されることになりました。全世界注目の激闘が横浜で繰り広げられます。2019年大会のチケットがいよいよ発売されます。「スタジアムパック」、「チームパック」と言われる、いわゆる「セット券」は 1月27日から抽選販売がスタートし、「通常チケット」は 3月に開催都市の住民を対象に先行で抽選販売がスタートします。
【東京2020 オリンピック・パラリンピック】
オリンピックは7月24日からの17日間で33競技が行われます。パラリンピックは8月25日からの13日間で22競技が行われます。経済効果は2013年からの18年間で32兆3000億円と東京都は試算しています。
横浜では、2競技が行われ、サッカー競技は、7万人収容の横浜国際総合競技場で開催されます。試合のカードについてはまだ決定していませんが、男女合わせて58試合ありますので10試合程度が開催されるものと考えられます。
また、野球・ソフトボール競技が横浜スタジアムで開催されます。競技は、福島県のあづま球場でも行われますが、横浜がメイン会場となっています。試合数については、リーグ戦方式で行うのか、総当たりで行うかが決定しておりませんが、決勝戦はメイン会場の横浜で行われる予定です。また、横浜スタジアムは改修を行い、収容人数を29,000人から35,000人にするとともに、エレベーターの増設等のバリアフリー化を推進します。
競技だけでなく、事前キャンプについても、英国オリンピック代表チームが横浜市、川崎市、慶応義塾大学で行われることも決定しています。
オリンピックの主な特徴は、会場周辺の警備、観客輸送、ボランティア、そして、機運の醸成の 4つです。視察に行ったリオ大会では、自動小銃を構えた軍隊がいました。しかも、引き金に指をかけており日本では考えられない状況でしたが、「見せる警備」として犯罪の抑止効果は高いものと思います。また、観客輸送について、ロンドン大会では大会期間中は時差通勤の奨励や地下鉄・フェリーは観客優先とするなど、混雑緩和の取組が行われていました。ボランティアについても、来訪者の大会や都市に関する印象を左右する存在であり、「横浜ならではのおもてなし」を実現する必要があります。機運の醸成では、会場以外でも、市民の皆様が、オリンピック・パラリンピックに触れる機会を作り、市全体で大会を盛り上げる取組が必要です。
【おわりに】
2019年、2020年と 2年連続して世界的なスポーツイベントが横浜で開催されます。
両大会を成功させるとともに、大会を契機とした様々な取組を進め、その成果を横浜の未来を担う子どもたちへの贈り物、レガシーとして遺し、横浜のさらなる飛躍につなげていきます。