第70回 湘友会セミナーのご案内 「大仏殿はなかった」

  • 日時: 2018年10月 6日(土) 14:00~16:00
  • 場所: 湘南高校 歴史館 スタジオ
  • テーマ: 大仏殿はなかった ~次の関東地震を予測し、その対策を考える~
  • 講師:  神沼 克伊 氏 (31回生)
  • 対象:  湘南高校 卒業生、在校生、教職員
  • 参加費: 無料
  • 事前申込: 不要

【概要】
かつて私の「大仏殿は無かった」という話を、湘友会支部で聞いた当時の教頭が次のように感想を述べられた。
「大仏殿が津波で流されたことは、神奈川県内の中学生にとっては常識になっている。その常識を湘南OB二人が覆されたことは大変うれしいが、その事実を周知させるのは大変だと思う」
それ以来少なくとも湘南関係者にはこの事実を理解しておいてほしいと考えていた。セミナーという良い場を与えられたのでその概要を述べる。

1) 「鎌倉大仏は大きな仏殿に覆われていた。明応7年(1498年)の地震津波により仏殿が流され以来露座になったとされている。ところが31回の同級生内海恒雄氏が「1486年には大仏は露座だった」という文献を探し出してくれた。大仏殿は明応年間には既に存在せず、津波では流されていない。この事実を啓蒙する。
2) 大仏殿が流されていないと、これまで鎌倉を襲った津波、さらに関東地震についても解釈が変わってくる。次の関東地震は2130~80年ごろと予測する。
3) 地震研究者や防災の専門家、気象庁は「地震に備えろ」という。しかし世界でも有数の地震国日本でも特別な場合を除いて、大地震に遭遇するのは一生に1回あるかないかの珍しい出来事である。そんな地震にどう対応したらよいのか? そこで「抗震力」を提唱する。
4) ちなみに内海氏が探し出した文献は、万里集九の「梅花無尽蔵」である。万里集九はもともと禅僧で美濃に住んでいた。太田道灌の招きで江戸に出てきて、鎌倉も訪れたのである。そして当時の禅僧たちはすでに鎌倉あたりを、中国の湖南省方面の風景と似ているとして湘南と呼んでいたという。
過去にも「湘南」のルーツが話題になったことがあるが、そのルーツは大磯にある碑でも、湘南村でもなく、15世紀にまでさかのぼり、梅花無尽蔵の記述にも表れている。



【講師プロフィール】
東京理科大学 理学部卒業
► 東京大学大学院研究科修了(理学博士号取得)
東京大学 地震研究所入所
► 第8次南極観測隊参加
国立極地研究所に移る(2度の越冬を含め15回公務で南極へ赴く)
► 南極の2地点にカミヌマクラッグ、カミヌマブラフの地名がつく
✿ 地震・火山・極地研究の第一人者

【著書】
地震・火山関連
•次の首都圏巨大地震を読み解く(三五館)
•首都圏の地震と神奈川(有隣堂)
•地震学者の個人的な地震対策 (三五館)
•地震と火山の100不思議―地震予知・火山噴火予知の最前線(共著)(東京書籍)
•次の超巨大地震はどこか?(サイエンス・アイ新書)
•日本の火山を科学する (小山悦郎 共著)(サイエンス・アイ新書)
•地球のなかをのぞく (講談社現代新書)
•地震予知と社会(古今書院)
•地震の教室(古今書院)
他 多数

極地研究関連
•白い大陸への挑戦(現代書館)
•旅する南極大陸(三五館)
•南極へ行きませんか (出窓社)
•北極と南極の100不思議 (共著)(東京書籍)
•みんなが知りたい南極・北極の疑問50(サイエンス・アイ新書)
•南極の四季 (共著)(新潮選書)
•南極100年―地球上のパラダイスをめざして (ほるぷ150ブックス)
•南極の現場から (新潮選書)
•極域科学への招待 (新潮選書)
•25年目の南極 (ウイークエンドブックス)
•二つの極―北極・南極からのメッセージ (共著)(理科年表読本)
他 多数
※これらの書籍のいくつかは湘南高校図書館に寄贈してある。