第95回湘友会セミナー報告「湘南高出身オリンピアンを迎えて~モントリオール 五輪に出場して・オリンピアンとしての思い・高校生活の思い出~」

日時: 2021年12月18日(土) 13時30分~15時30分
場所: 湘南高校歴史館スタジオ
テーマ: 湘南高出身オリンピアンを迎えて~モントリオール五輪に出場して・オリンピアンとしての思い・高校生活の思い出~
講師: 鯉沼(吉川)眞理子氏 (全45回)、俣木志朗氏 (全46回)、川添博幸氏 (通16回)

■始めに
文武両道を標榜する我が母校では、1932年ロサンゼルスオリンピックのボート(エイト)での田中英光さん(全5回) を始めに、2008年北京オリンピックのテニスでの杉山愛さん(通39回)、森田あゆみさん(通52回) まで八人のオリンピアンを輩出してきました。
本セミナーは2021年7月~12月開催の歴史館企画展「オリンピックに出場した湘南生」とリンクして実施されました。
セミナーでは1976年モントリオールオリンピックに出場された鯉沼(吉川)眞理子さん(全45回)、俣木志朗さん(全46回)、川添博幸さん(通16回) の三人をお迎えして、高校生活の思い出やオリンピアンとしての思いなどを語って頂きました。

■セミナーの内容概要
鯉沼眞理子さん:
モントリオールオリンピックにフェンシングで出場。フェンシングは湘南高校で始める。
中学まで運動クラブ経験無く、フェンシング部入部の理由は女子は男子の三分の一の練習で良いと言われた為。高校時代は体育祭や合唱大会など学校行事を楽しみながらもフェンシング漬けの生活。インターハイで優勝したいと猛練習したが優勝は適わなかった。
勉強らしい勉強をしなかったため、薬学部進学を目指すも模擬試験での合格確率は0%だったが猛勉強して東京薬科大に合格。大学では日本一を目指すがフェンシングと勉強の二刀流は無理と思い、大学を1年で辞めフェンシングに専念。

全日本フェンシング選手権大会では1973年、74年、75年と3年続けて二位。万年二位と揶揄されるも1976年の全日本フェンシング選手権大会で優勝しモントリオール出場を射止める。
母となっても競技を続け、1982年第37回国民体育大会2位、2008年神奈川オープン優勝。

現在、湘南高校フェンシング部コーチ。
目標を持つ。ぶれない、あきらめないで努力をすればかならず結果は着いてくる。

川添博幸さん:
近代五種で1976年モトリオールオリンピック、1984年ロサンゼルスオリンピックに出場。
1980年モスクワオリンピックには選手として選ばれるも、日本が米国等と共に参加ボイコットしたため出場せず。2021年東京オリンピックには近代五種の役員として参加。役員として参加の2021年東京オリンピックの会場設営、競技運営の様子や競技本番の様子などを写真で紹介。
近代五種とは水泳、フェンシング、馬術、レーザーラン(レーザーガン射撃+ランニング)を一人で行うオリンピック競技で、騎兵将校の動きに由来している。

モントリオールオリンピックまでの準備期間が3年半しかなくそれ以前には近代五種の経験が無く、準備のための計画を立てた。明確な目標設定が重要。先ず最終目標を設定し、そのための1年の目標、今月の目標、今日の目標を立て、そのための練習計画を立てる。
練習はルーティン化することも重要。
目標を立て努力すれば結果は出る。中学でやった剣道はフェンシングの間合い等に役立ち、高校(少年工科学校)でやったサッカーのキーパーの経験は判断力や決断力、計画性を高めるために役立った。チャレンジすれば何処かで役立つ。

俣木志朗さん:
モントリオールオリンピックにボート(エイト)で出場。

高校時代は対組で駅伝・陸上記録会・バスケット、合唱コンクール、そして体育祭で活躍。
1972年に東京医科歯科大学に合格。合格発表会場でボート部に勧誘される。医科歯科大ボート部で活躍し、1974年にモントリオールオリンピックのボート(エイト)選抜クルーの7番漕手に抜擢される。オリンピックに向けて1974年~76年の年末・年始に相模湖で合宿。合宿はきつかったが、歯学部の実習にも参加しなければならず、合宿中は相模湖からお茶の水まで通った。

オリンピック終了後は進級試験、国家試験と充実した1年半を過ごした。5年間の現役選手生活を終えた後、上級コーチ資格を取得し、大学院終了まで5年間コーチとして指導を行う。大学院では基礎歯科医学に進み医科歯科大での助手勤務を終えた後、長崎大に進むが医科歯科大のボート部先輩の教授から臨床歯科医分野の助教授として戻ることを強く進められ、医科歯科大に戻る。人生の節目々で素晴しい人との出会いが有った。

ボートは一人では何も出来ない。後ろを向いて漕いでいるので、先を見ようとするとバランスを崩す。一漕ぎ一漕ぎの積み重ねがゴール到着をもたらす。

モデレータ: 内藤公敏 (全46回)