■第108回湘友会セミナーが開催されました。
日時: 2024年8月11日(日)13時30分~14時30分
場所: 湘南高校多目的ホール
テーマ: 宇宙旅行で何をしたいですか?
講師: 田中 敦
今回のセミナーは、天気予報の精度向上に大いに貢献した気象衛星ひまわり(7、8、9号機)の開発をはじめとして、人工衛星の開発に長年に渡り携わってこられた田中敦さんをお迎えして、「宇宙旅行で何をしたいですか?」のテーマでお話いただきました。
尚、セミナー実施に当たり、サッカー部OB会の全面的なご協力をいただきました。
■セミナーの講演概要
今は1週間程度の宇宙旅行をするのに約40億円かかりますが、2050年代には100万円程度で宇宙旅行ができるようになると予測されています。このことが実現するには、ロケットによる移動費と宇宙ホテルでの滞在費の両面で革新的な技術による価格破壊が必要です。
移動費については、イーロン・マスク氏が起業した米国のSpaceX社が開発するロケット (スターシップ) により、スペースシャトルの1/300にコストダウンする目途が立っています。スターシップは人類が火星に移住するために開発が進められている人類史上最大のロケットで、完全再利用型です。このロケットは火星への人類の輸送だけでなく、飛行機に代わって都市間を結ぶ新しい輸送システムとする計画もあり、これにより地球上のほとんどの都市間を30分以内に移動することが可能となります。
(SpaceX社 動画「Starship | Earth to Earth」
滞在費については、価格破壊を起こす技術革新がまだ起きていません。2030年に運用停止となる国際宇宙ステーション (ISS) に代わって、米国の民間企業等が独自の宇宙ステーションを打上げて運用する計画を進めていますが、ISSと同様に地上で製造したモジュールを打上げる方式のため、設計自由度が低く、打上げロケットによる制約が大きいため、大幅なコストダウンができない状況です。
この状況にブレークスルーを起こすべく、日本のSpace Quarters社が軌道上で大規模な建築を可能とする溶接技術の開発を世界に先駆けて進めています。この技術により、軌道上で自由な大きさ/形状の建築が低コストで可能となり、滞在費面でも価格破壊を起こせます。
こうして、SpaceX社の輸送技術、Space Quarters社の宇宙建築技術により、2050年代に100万円で宇宙旅行に行ける時代がやってきます。
現役学生に向けて以下のエールを送ります。
- 根拠のない常識に捉われないで、やりたいこと・情熱を持ち続けられることを探してください。
- 日本は狭いです。若いときから世界に飛び出して駆け回ってください。