湘友会セミナー(第3回)報告

.
湘友会セミナー」第3回は、51回生の井上愛一郎さん(理化学研究所 計算科学研究機構 統括役)を講師として、「スーパーコンピュータ『京(けい)』の開発とそこに至る道のり『世界で一番役立つスパコンとして』」という演題で、3月2日(土)14時~16時に、歴史館スタジオで開催されました。井上さんは、世界最速の計算処理能力を記録したこともある「京」の開発責任者を務められた方です。井上さんのPCから次々にスクリーンへと映し出される画像を見ながら、お話の展開についていくと、時間が過ぎるのがとても速く感じられました
.

.
講演では、スーパーコンピュータ開発の歴史の中で、様々な困難(政府による「事業仕分け」も、その一例)と出会いながらも「京」が生み出された経緯や、「京」が作り出されたことの意義、そして、「共用施設」である「京」が、今後、産業界や研究機関などによって大いに活用されていく可能性が、熱心に語られました。更に、「京」の優れた計算能力によってこそ可能になる、各種のシミュレーション(例えば、がん治療薬の開発・心臓の手術・地球全体の気候・地震による津波・自動車の事故など)の紹介では、日頃は科学やコンピュータにあまり関心のない方たちも、大いに興味をそそられたようでした。講演の最後に示された画像には、「世界一の成果を継続的に生み出し続けたい」という言葉があり、井上さんも、「(京の)真価が問われるのは、これから」と言われていました。講演後の質疑応答も活発に行われ、井上さんは、その中でも、ご自身のお考えを誠実に述べられていました。大先輩の「井上さんの頭脳と出会えて良かった」という言葉が、特に印象的でした
.

.
講演を聴講したのは35人で、26回生から68回生までの湘友会員と、90回生(高校1年生の放送部員)1名でした。また、聴講者全体の半数ほどが、井上さんと同期の51回生でした。今回の講演は、湘南高校の現役生の定期試験期間中であったため、残念ながら、井上さんのお話を多くの若い方に聴いて頂くことはできませんでしたが、お話の内容はもちろんのこと、井上さんが「高校生や若い世代の湘友会員たちに伝えたい」という思いを強く抱かれている点からも、井上さんには、今後、できるだけ早いうちに、是非とも、湘南高校に縁のある若い方々を前に語りかける機会を持って頂きたい、と思いました。私(今回の講演の企画者)は、講演やその前後の会話の中で、井上さんの「言葉の持つ力」に、「湘南高校らしさ」が感じられるように思いました
.
.