第110回湘友会セミナー報告「アルメニアのボランティア活動 ~ロシア ウクライナ戦争の影響を受けて~」

日時: 2024年11月16日(土) 13時30分~15時30分
場所: 湘南高校歴史館スタジオ
テーマ: アルメニアのボランティア活動 ~ロシアウクライナ戦争の影響を受けて~
講師: 松尾 光氏(全47回生) 元日本経済新聞社

アルメニアの首都エレバンで国際協力基金の支援を受けて日本語教育講座の活動を行いました。コロナ下のため最初半年はオンラインその後現地に赴任して2021年から2年半の記録をお話しました。セミナーには46回生,同期の47回生や興味を持った方々が参加されました。

  

■セミナーの講演概要
Ⅰ.アルメニアの文字・歴史
特殊なアルメニア文字や歴史を紹介しました。2500年前から歴史があります。周辺国に征服されていますがアルメニア人はかわりません。1991年ソビエト連邦崩壊で2回目の独立を果たしています。最近の外交上の最大の課題はナゴルノ・カラバフ紛争(アゼルバイジャン領内でアルメニア系住民が居住するナゴルノ・カラバフをめぐるアルメニアとアゼルバイジャンの紛争)です。まだ続いています。大量の難民が昨年アゼルバイジャン領から逃れてきました。

・100年前のアルメニアが親日となった出来事
100年前にオスマントルコ帝国のアルメニア人の大虐殺(150万人)の際、1500人もの難民を日本を経由して救済しました。日本で活動したアルメニア女性と渋沢栄一の援助についてお話しました。

Ⅱ.アルメニアの観光
アルメニアの観光は歴史背景や風景など充実しています。紀元前からのそれぞれ歴史背景が異なる世界遺産の教会が多くあります。世界で最古のキリスト教を国教にした国です。

Ⅲ.日本語教師の活動
日本語教室「いろは]、ロシア・アルメニア大学(私立)、エレバン国立大学、Brusov State University(国立),アメリカアルメニア大学(私立)の 4つの大学と日本語教室 に関係しました。
ロシアとウクライナの戦争が始まる前半年は順調すぎた出だしでした。まずは日本語教室で教え楽しいイベントに参加しました。半年後に大学の講師として活動しました。アルメニアの日本語教育や研究は30年の歴史があり優秀な研究者が生まれ充実していました。

・ロシアウクライナ戦争始まる 活動に暗雲
大量のロシア人が街にあふれ 事務手続きが大幅遅延して支援者と軋轢が生じました。物価が高騰し円の価値が半分になりました。
私が教えた学習者は14歳から30歳で50名を超えます。そのうち大学学部生、大学院生が30名です。教育活動は充実して続けることができました。多くの日本食の食事会や花見イベントや日本国大使との交流で生徒達はますます日本のファンになったはずです。ただ私の初級者向けの教育方法で食い違いが生じストレスもありました。

Ⅳ.エレバンの人たち アルメニアでの生活
日本が好きなエレバンの人たちとの楽しい交流が私の日常生活を支えてくれました。学習者の家族からもあたたかなもてなしを受けました。学習者の結婚式に招待され、参加しました。音楽活動が充実して私の趣味であるクラシック音楽鑑賞を30回以上も堪能しました。

Ⅴ.アルメニアでの活動をやめる決断
ロシアウクライナ戦争のなかアゼルバイジャンとの紛争が再燃しました。
戦争の影響で生活がとても大変になり活動やめる決断をして2023年7月帰国しました。

Ⅵ.学習者のビデオをクリップ
今も日本語学習者と無償でオンラインレッスンを行っています。その中の6人のアルメニア人と1人のキューバ人に日本語を習うことへの熱い思いを語ってもらいました。
学習者の日本語上達の速さにセミナー参加者は驚いていました。

Ⅶ.今後
地元杉並で日本語教室(LTC友の会)の代表をしています。杉並区在住の外国人学習者29ケ国70人、日本人スタッフ30人ぐらいの組織です。ボランティア組織です。

Ⅷ.質疑応答
セミナー参加者から日本語教育のみならずアルメニアと日本の関係など多くの質問が寄せられました。

湘友会セミナー委員会