一人の若い湘友会会員が、自分の夢へ向かって羽ばたこうとしている。『お任せ!数学屋さん』(注1)で、小説界の登竜門として知られる「ポプラ社小説新人賞」の受賞(2012年12月) (注2)が決まった向井湘吾君は、異才の持ち主だ。
湘南高校を6年前に卒業した彼は、高校時代から数学の成績が飛び抜けていた。月刊誌の学力コンテストで常に成績上位、数学オリンピックでは入賞する。しかし3年のコース選択で、文系コースを選択する。「僕は作家になりたい、数学は趣味」
現役で東大文三へ進み、卒業と同時に出版社へ就職した。入社後の彼は編集で忙しく、作家稼業と両立させるのは困難を極めたはずだが、その中で、“23年間という短い人生経験で書ける最高傑作”の小説を作り上げた。
受賞作品は ── 発売前で手元に本がないため、ポプラ社のホームページによると ── 今までにない青春小説とのこと。主人公は、中学2年生の遙 (数学が苦手) と宙 (不思議な転校生)。宙くんの夢は数学で世界を救うことで、「数学屋」という謎の店を教室内で開く。そして「数学」を謎解きのベースにしてストーリーが展開していく。
講評者 (ポプラ社) は
- 主題は「複雑な人間の気持ちを数学で解こうとするところ」。
- 数学がこれほどまでにロマンチックなものだったとは!
- キャラクターを描くのも上手い!
- 最後には華麗なドンデン返しもある!
- 書き手としての将来性も感じられる。
- 選考は満場一致で決まった。
と記している。(ポプラ社ホームページ:講評 (注3))
発売日の6月30日10日が今から待ち遠しい。
※発売日は早くなりました(6月10日に変更)。(追記: 2013/05/31)
(恩師からの情報提供)