湘友会セミナー(第10回)報告

10月12日(土)、湘南高校 歴史館にて第10回湘友会セミナー「湘南地方を襲う地震と津波」が開催されました。46回生・旧37組のクラス会と湘友会セミナーを合わせた初の企画です。講師は、東京大学地震研究所教授であり日本地震学会・会長の加藤照之氏です。旧37組の同窓生をはじめ、多数の湘南OBの方々の出席により総勢で58名の出席で行われました。

セミナー内容は、地震と津波のメカニズム、そして湘南地方を襲う地震は何か、被害予測は、といった身近なテーマと、最近話題になっている「南海トラフ」地震の説明、そして最後に「津波から身を守るにはどうしたらいいか」について、出席者全員にわかりやすく説明され、かつ災害に対する関心への提言をいただきました。

地震とは、地下の断層のずれが地表に伝わって起こすものであり,地表の揺れの大きさを表す「震度」と、断層運動の大きさである「マグニチュード」の両方でその大きさが表されます。この震度やマグニチュードなどの計算式は知る由もありませんが、加藤氏曰く「事前に発生を予測ができる計算式は無い」とのことです。

大正12年(1923年) 9月1日、相模湾を震源とするM7.9のプレート境界型地震である関東大地震の被害状況紹介では、東京より神奈川県での地震動による被害が大きく、強震動は相模湾周辺地域であり、崩壊や液状化の被害などが過去の写真を通じ紹介されました。

神奈川県の「地盤の揺れやすさ」では、相模川、酒匂川等の河川周辺、および神縄・国府津-松田断層や三浦半島断層周辺などが揺れやすく、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高いとの予測がなされているとのことです。

津波の原因は、海底での地震、海底で発生する地滑り、海底火山噴火や地滑りの海水への突入などいろいろありますが地震によるものが大多数を占めます。

気象庁などで言っている津波の大きさ(高さ)は、「海岸から内陸へ津波が駆け上がる、遡上高(そじょうこう)」においては、場合によりその4倍程度になることがあり、想像以上の被害に見舞われることがあるとのことで、出席者全員から驚きの声が上がったほどです。

さらに1605年の慶長型地震津波による藤沢を襲った津波の記録、および関東地震における浸水域から、今後も藤沢市の浸水域としては、引地川・片瀬川の流域や片瀬・鵠沼海岸地域が推測されています。

「では、どうすればよいか?」については、 『日々与えられる「安全情報」から自らの「安心」を見つけることであり、最後に決めるのは個人である』だそうです。『普段からの心構えと訓練が重要で、他人から与えられた「絶対安心」は無い』とのことです。

最後に、出席者から活発な意見や質問が出て、加藤氏の講演会は終了しました。