第29回湘友会セミナー「湘南中学で学んだものと赤木校長先生の思い出」は、講師の池田武邦さん(16回生) の印象深いお話に心を打たれました。ご講演直前、控え室の池田さんから、「今日の講演の主旨をもう一度確認させてくれないか？」と問われ、「赤木校長先生の思い出と、海軍の戦場、建築家としての仕事、企業の経営で池田さんを支えた湘南中学の教え、です。」と申し上げました。すると池田さんの温厚な眼差しが一瞬キリッと光り、「そうか。わかった。」と言い残し、セミナー会場へ向かわれました。
演台の池田さんは、お人柄そのもののとても真摯な姿勢でお話をされました。全てのお話の着地点を、ご自身の波乱万丈のご経験や輝かしい実績ではなく、愚直なまでに赤木校長先生の教えとは何だったか、へ持って行こうとするお姿に、湘南の後輩達を思う池田さんの熱い気持ちを感じると共に、「ああ、私のような若造が大先輩にあんなバイアスをかけなければよかった。もっと自由にお話して頂けるよう配慮すべきだった。」と猛省しました。
今回のご講演には池田さんのご令室も同行され、静かな笑顔をたたえてお話をお聞きになっておられました。講演の中で池田さんがご令室に対し感謝の言葉を述べられ参加者は心温まる気持ちになりました。また会場には池田さんご同期の水田岩雄さん(16回生) をはじめ同じく田丸謙二さん(16回生) のご息女 (藤原美子さん(48回生))、川井陽一元校長先生、現役生3名まで、65名の方々にご参集頂きました。
当日は、池田さんご夫妻に母校の新校舎、グラウンド、プール等も視察頂きました。「実に楽しかった。数十年ぶりに母校も訪問できてよかった」とのご感想を頂戴し、ご講演用のスライドを準備し、池田さんの送迎車にも往復同乗してお世話してくれた大久保學さん(52回生) や、会場と帰りの道中でご令室につきそってくれた角田浩子さん(52回生) と共に、ほっとしております。私達はこの日、池田さんを通じて在りし日の赤木校長先生の教えと、私達のルーツ・湘南中学の風土へ確かに触れ得たのではないでしょうか。
池田さんには赤木イズムを体現する数少ない先輩の一人として、是非いつまでもご健勝で、より多くの湘南中学・湘南高校の生徒・卒業生に、赤木校長先生の教えと、そしてご自身の貴重なご経験と実績を十分にお話し頂きたいと切に願っております。
末筆ながら、今回の企画を実現に導いて下さった尾高忠昭さん(36回生) をはじめセミナー委員の方々、歴史館運営委員会の鈴木和臣さん(41回生) には、大変お世話になりました。ありがとうございます。
会員の皆様へお願い
池田武邦さんは戦後の赤木初代校長の消息をしきりにお尋ねになりました。特にご退職後に関しては調べ尽くせず回答できずにおります。心当たりはセミナー委員会･尾高忠昭さん(36回生) 迄お知らせ下さると幸甚です。
2015年7月3日
飯田 一彦(52回生)
