第31回湘友会セミナー報告

「戦後七十年の教育を振り返る」
~実践の「言葉」をつなぎながら、恩師のことなども~
2015年7月11日(土)湘友会セミナー

講師の中村喬先生は、藤沢のお生まれ、藤沢の小・中学校を経て湘南高校へ進まれました。教員になろうという強い意志の下、横浜国立大学に進学を決め、卒業後藤沢市立村岡小学校に赴任されました。その後中学校も経験され、教育行政を経て教頭・校長を歴任されて、藤沢市教育委員会の教育長として藤沢市の教育の根幹作りにご尽力なさいました。

お話はご自身の生きてきた道筋と、10年ごとに改訂される学習指導要領を軸にして、展開されました。中学校時代の担任との出会いで「確かな信頼関係で結ばれる教師と生徒、心と心が響きあう関係、このようなとの出会い、そして言葉との出会いを21世紀を生きる子どもたちにたくさん持ってほしいと私は考えている。」と考えられたことをご自身の著書 「戦後教育、70年を振り返る ~実践の言葉を綴りながら~」(平成27年6月発行)の中で述べられています。

その後、湘南高校時代の石川一成先生、村田邦夫先生との出会いを通して、一層強く国語の教師の道を目標と定められました。現在も中村喬先生は俳句・短歌の創作に勤しんでおられます。また、日本国語教育学会会員でもあります。この春の叙勲では瑞宝双光章を受章されました。

出会いは先生方ばかりではなく、との出会いからの言葉も語られました。
大岡信 言葉は知識ではなく体験である
ゲーテ お前の努力は愛の中にあれ、お前の生活はおこないであれ
長田弘 言葉は力をこめて書かねばならない
中村喬先生の教育実践の中から、子供の詩・告発文・授業への感想文等、たくさん紹介 していただきました。

ご自身の句「渡された言葉の数だけ人がいる 返す言葉の軽くはないか」を最後の締めくくりとされました。出会われた生徒、恩師、時代、世の中に真摯に向き合ってこられた先生の志が、聞く人に静かな感動を呼び起こす講演となりました。中村喬先生、有難うございました。

(報告者 小池洋子)