湘友会セミナー(第4回)報告

「湘友会セミナー」第4回は34回生の村尾良夫さんを講師として「私の歩んだ原子力―原発から西行まで―」という演題で4月13日(土)に14時から16時まで歴史館スタジオで開催されました。

村尾さんは、日本原子力研究所に入所され、平成21年に内閣府原子力安全委員会事務局を退かれるまでの間、多角的に、さまざまな立場で「原子力発電と安全」に取り組んでこられました。

講演では「原子力発電」に日本が取り組み始めた頃の世界情勢、特に石油産出国の中東とマラッカ海峡を巡る情勢と日本のエネルギー確保の課題などを振り返り、3・11以降の「日本と原子力発電」を取り巻く様々な課題について見識をお話されました。

村尾さんは、研究開発部門、安全工学部門、原子炉工学部門、研修部門での歩み、さらに原子力安全委員会事務局での歩み、と「原子力発電」を取り巻く様々な方々との取り組みから「安全・安心は心理学的に」とらえる必要があり「人間学の重要性」を強調されました。とくに「心」が科学技術の推進や安全を考えるときに、とても大切であると強調されました。

退職後に村尾さんは小説の執筆をされ、「人間学」は大切なテーマとなったそうです。そして「西行(法師)」は「源氏と平家」「頼朝と義経」「朝廷と鎌倉と平泉」を巡る関係を優れてとらえていた人物として紹介されました。それらの拮抗とバランス (注) と興亡は「原子力と石油と再生可能エネルギー」「世界と日本」「原発の運命と日本の運命」を考える上で重要であり、「原子力発電」は単独では考えることができない課題であると、あらためて示唆されました。

講演には41名の参加者がありました。講演後には会場からたくさんの質疑が続き、復興の真っただ中で、とても貴重な講演を聴講することができ、多くを学びました。

第5回湘友会セミナー(5月18日(土)開催) も大いに期待して下さい。