第127回湘友会セミナー報告 「湘南同窓生大句会。こんにちは、俳句。」

■第127回湘友会セミナーが開催されました。
日時:2026年9月19日(土)14時~16時
場所:湘南高校歴史館スタジオ
テーマ:「湘南同窓生大句会。こんにちは、俳句。」
講師:名取 里美氏(全55回生、合唱部)俳人、「あかり」主宰。

■講演の概要
今回は、普段の湘友会セミナーのような講座形式では無く、「句会」の雰囲気となるように、会場内に講師を囲み車座に椅子を配置。
「句会」の準備として、我々スタッフがご参加の皆さんの詠んだ俳句をとりまとめてコピーしている間に、名取さんが俳句を始めるきっかけなど簡単な自己紹介と、俳句についてのミニ講座をしていただきました。

〇「4つ想い」を叶えて…。
名取さんが俳句を初めて書いたのは高校生の時。卒業後の進路を考える時、名取さんには「キャリアウーマンになりたい」「進学するなら女子大」「子育てがしたい」そして何より「文芸の何かを書きたい」という想いがあったそうです。
大学で俳句の魅力に取りつかれた名取さんは、受験勉強や就職活動、そして就職してからも山口青邨氏、黒田杏子氏のもとで一生懸命俳句を学び続け、20代で発表した第一句集『螢の木』が第1回ラ・メール俳句賞を受賞と、想いを全て叶えられた、その弛まぬ努力と才能、何より名取さんの俳句への情熱が強く伝わってきました。

〇 名取さんによるミニ講座 「季語の魔法」とは…。
・俳句とは、皆さんご存じのとおり「五七五の十七文字」からなる「世界最短の定型詩」であり、しかも、季節の風物などを表す「季語(季題)」を盛り込まなくてはならない、というルールがあります。
・高浜虚子は、「人も禽獣も草木もひとつの宇宙の現れ」であると言いました。つまり季語の「宇宙そのもの」を読み込む詩であることが、俳句を俳句たらしめている重要なポイントである、と私(名取)は思います。
・また、山口青邨氏からは「俳句は『観察=observation』の文学であり、季語を観察するものだ。」との教えを、また黒田杏子氏からは「俳句は季語の現場、つまり季節を感じる自然や風物に直接出逢った時に詠むべきものだ。」との教えを受けました。(この点、何かアトリエから屋外へ飛び出した印象派絵画の表現手法にも相通じるのでは、とも感じられました。)
・たった十七文字で「宇宙」を表現するとは、何とも至難の業と感じられますが、「歳時記」に収められた様々な季語を用いて、自身が出逢い感じ取った自然や風物に想いを重ねて表現する研鑽を積むことで、俳句の世界をより深く楽しめるようになると思います。
・例えば、松尾芭蕉に「秋の雨」と詠んだ俳句があったとします。現在を生きる我々が「秋の雨」を見て俳句を詠むことは、四百年の時を超えて、芭蕉の世界観と繋がるような、そんな貴重な体験が出来るのも俳句の面白さだと思います。

〇 いよいよ「湘南同窓生大句会」の幕開け!
この日、事前に投稿されたものも含めて38句もの俳句が寄せられました。ようやく準備も整い、まず、名取さんから句会の進め方について以下の通り説明があり、いよいよ「句会」がスタート!
・まず、作品の中から自分が好きだと思う五句を選ぶ (選句)。
・選び終えたら、参加者全員が順に選んだ句を発表し、選ばれた句の作者は名乗りを上げる (披講)。そして、皆で作品についての感想を述べあう。
俳句を永年嗜んでおられる大先輩方から、俳句を詠むのは高校の授業以来?という初心者まで、バラエティ豊かな作品が発表される度に、「この方がこんな句を詠んだのか!」や、「この句はどういう事を表現しているの?」と皆さんからの感想や反響の声が上がりました。
中でも、修学旅行、体育祭、浦高戦から同窓会まで、高校生活の思い出を詠んだ句も多く、「湘南に相撲部があったのですか?!」との驚き、「灰色って、空の色じゃなくて対組の色ですよ!体育祭で優勝したので!」との説明や「白砂青松」という語について「自分たちの入試問題で出題されたので。」と、他の方には判らない隠された意味まで披露されるのには、さすが湘南生、と皆さん納得。
名取さんからもそれぞれの句についての感想が述べられるとともに、「文語体か口語体か、どちらが相応しいのか。」や「『夏』と『蝉』など、二つの季語が含まれる『季重なり』についてはどうか。」といった表現手法や語句の取り回しなどについて、参加者の皆さんを交えて活発な意見交換がされました。
特に、俳句の根幹でもある「季語」に関して、「最近の異常気象で、四季折々の自然が、『二季』の如くなっており、歳時記と現実とのズレはどうしたら良いのか。」というご意見には、皆さんも同じ問題意識を共有している、と感じました。
句会の最後には、第60回湘友会セミナーで「サファリ (旅) と俳句」の講師を担当され、今もお元気で俳句の世界でご活躍中の内藤洋治 (俳号 霧野萬地郎) 先輩 (36回生) から、タンザニア駐在時代にアフリカの風景などを俳句に詠んだ思い出も披露していただくなど、俳句を通じて世代を超えた交流が生まれた実り多い貴重なひとときとなり、句会は大成功だったと思います!
※内藤先輩の湘友会セミナーの模様はこちらから

〇 講師の名取さんからのコメント
「シルバーウィークの連休中にも関わらず、ご参加いただきまして、心より御礼を申し上げます。活発なご意見も賜り、誠にありがとうございました。湘南生らしさが懐かしく、うれしく、頼もしく、校歌を歌いたくもなりました。湘友会セミナーの皆様、同級生の皆様のご尽力のおかげです。あらためて、ここに皆様に深謝を申し上げます。」
※名取さんのHP「名取里美の俳句の魔法」はこちら
※名取さんが主宰する「あかり俳句会」のHPはこちら

講師の名取さんをはじめ、コピー機をお借りした歴史館事務局の皆様、また配布資料の印刷等にご協力くださった同級生の皆様、お世話になり本当に有難うございました!
秋の午後集いて詠まん五七五

なお、今回、ご参加の皆さんの素晴らしい俳句をご紹介したいところですが、講師の名取さんから「ここに掲載してしまうと『既発表句』となり、今後投稿などが出来なくなってしまいます。ぜひ、俳句誌等でご披露してください。(名取さんが選者をされている『かまくら春秋』への投稿もお待ちしています!)」とのことでしたので、ご了承ください。

末廣 好男 (55回生)