- 日時: 2016年 5月 7日(土) 14時~16時
- 場所: 湘南高校 歴史館スタジオ
- テーマ: 「スマートハウスからスマイルハウスへ ~IoTとロボットがつくる笑顔のくらし~」
- 講師: 山崎 洋一氏 (72回生)
「湘友会セミナー」第41回は72回生の山崎洋一さんを講師に迎え、「スマートハウスからスマイルハウスへ~IoTとロボットがつくる笑顔のくらし~」というタイトルで、5月7日(土)の14時から歴史館スタジオで開催されました。
山崎さんは、東京理科大学の機械工学科にてロボットの “からだ” について学び、ロボットの “こころ”をつくるために人工知能を学ぶべく東京工業大学大学院知能システム科学専攻に進みました。
その後、関東学院大学での勤務を経て、2013年より神奈川工科大学創造工学部ホームエレクトロニクス開発学科で、人の笑顔をつくるホームロボットシステムの研究に取り組んでいます。神奈川工科大学は厚木にあり、さがみロボット産業特区の中心に位置しています。
講演の前半では、「ロボットシステムをつくるには?」というテーマで、ロボットのしくみが解説されました。
ロボットの「からだ」は機械、「目や耳」はセンサ、「頭」はコンピューターで成り立っており、ロボットをつくるためには、機械、電気電子、情報の分野にまたがる知識が必要です。身近になりつつあるコミュニケーションロボットをつくるとなると、必要な知識は、気づかいや心くばりといった認知心理学のフィールドまで広がっていきます。ロボットの実例として、ソフトバンクとアルデバラン・ロボティクスが開発しているPepperの内部やセンサの しくみ が紹介されました。
後半では、今、注目されているIoT、人工知能とホームロボットがどんな未来をつくるのかが解説されました。
IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」ともよばれ、すべてのモノがインターネットにつながり、互いに情報を交換しながら制御するしくみです。マイクロソフトは、IoTは2025年までに6.2兆ドル規模の市場になると試算しています。IoTが広がるとこれまでの人の操作が必要だったITの世界から、モノが自動で情報をやりとりして人にサービスしてくれる世界に変わっていきます。
人工知能、計算知能の技術を利用した情報サービスはすでにITの世界でも取り入れられています。日常生活の中で身近なモノが情報を人にお知らせするためには、さらに親しみやすさ や さりげなさ などの「お知らせ技術」が必要になります。山崎さんは、このお知らせ技術に注目し、スマートハウスとロボットを連携させた「笑顔の住まいをつくるスマイルハウス」の研究開発に取り組んでいます。その中で、ロボットが言葉をつかわないで人に情報を伝えるための非言語表出技術と、その応用である深層表出、HEMSと連携したスマートリビングのロボット制御などの事例が紹介されました。
最後に、山崎さんはこれからのホームロボットの課題として「高齢者」と「からだ」の2つを挙げ、現在の取組中の2つの研究課題を紹介しました。「高齢者の未病を治す」をテーマとしたロボットの開発では、高齢者の心身をサポートするしくみを研究し、ヘルスケア施設で実証を進めています。また「からだ」を拡張するあたらしいスポーツとして、バーチャルリアリティ技術を総合格闘技に組み込んだ「超人格闘技システム」の開発に取り組んでいます。
講演後には、Pepperが人とお話しながらリビングのTVや照明ロボットを操作してくれるデモンストレーションがあり、卒業生だけでなく、在校生や小さなお子さんも体験しました。