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2017.04.19

第52回湘友会セミナー報告

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  • テーマ: 「現在の国際社会の課題」- 「ポピュリズム」について考える
  • 日時: 2017年 4月 15日 (土) 14:00~16:00
  • 講師: 鹿取克章(よしのり)(44回生)

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1. はじめに

スポーツ紙が浅田真央さんの引退報道を競って掲載している一方、シリアで化学兵器が使われた形跡があったとか、それに対して米国がトマホークを打ち込んだとか、極東ではこの4月15日にかの国の首領生誕105年を祝うイベントが行われ、失敗したといえども早朝からのミサイル発射とか、一般紙の一面記事にも事欠かない事件が世の中を騒がせている。 そんな今、まるで計ったかのような極めてタイムリーなテーマの講演が、ここ湘南高校で行われた。
鹿取克章 元・在インドネシア特命全権大使、現・外務省参与による、「現在の国際社会の課題」である。

当日、やや風は強いものの初夏を思わせる穏やかな午後のひと時、湘南高校の歴史館では、数十人の聴衆が鹿取氏の講演開始を待っていた。 講演に先立ち、歴史館に展示されている素描の作者、向山武志氏(55回生) のご挨拶、川瀬由紀夫(ジャカルタ湘友会 前副会長/55回生) による鹿取氏ご経歴のご紹介。その後、鹿取氏からご講演を頂くことになった。


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2. 講演内容

2016年は、ベルリンの壁が崩壊し戦後冷戦が事実上終焉した1989年に匹敵する激動の年として、未来永劫記憶される年になるであろう」

昨年末の世界各国のクォリティ・ペーパーには軒並みこのような論調が並んだ。 日本の一般紙もその例に漏れない。 そして、鹿取氏の講演は、2016年が未来永劫記憶される大きな要因となり、世界を揺るがした次の2大イベントに言及することで開始された。

  • 英国のEU離脱国民投票 (6月23日)
  • 米国大統領選挙 (11月8日)

どちらの結果も周知のことであるが、鹿取氏の切り口は、この2つの結果がポピュリズムに大きく左右されたこと、そしてそのような重要な決断を左右する「ポピュリズム」台頭に対する懸念が世間で高まっている、というところから始まっている。 そして世界はこの2016年から2017年初頭にかけて、まさに「ポピュリズム」を基盤にした論調で大きく変動しつつあるとも論じた。

そんな中、国際社会における「ポピュリズム」を前提にした課題として、次の2つを挙げた。

  • ポピュリズム的主張に適切に対応できるか?
  • 国際的政治闘争のエスカレーションをコントロールできるか?

「平和維持」という切り口でとらえると、上記のポピュリズム主張及び闘争のエスカレーションによって世間を取り巻く状況が混沌(こんとん)とした場合、関係主要国間の協力推進のため、お互いに必要な信頼関係を維持・強化できるかという、極めて重要かつ難しい対応を迫られる。

そしてその対応がスムーズになされない場合、ポピュリズム的政策は、上記の二つの課題を積み残した形となり、これまで育んできた安定のためのメカニズム及び抑止力を損ない得る恐れが十分にある。

そのような望まれない事態を避けるためには、自由な民主主義体制の維持が不可欠であり、それは市民それぞれが各々意識をもって担う役割ということになる。

具体的には、下記が挙げられる。

  • 政治および外交に対する積極的関心と関与: バランス感覚、寛容性、相手の視点・問題意識の理解、連帯感、社会的勇気。
  • 情報・議論には更なる注意を向ける: 偽情報の見極め、Fake News、扇動的表現、証明されていない情報の独り歩き、陰謀理論、特定の集団・国を総体として敵視する、といった偏った理論武装を避ける。

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3. 最後に

鹿取氏講演終了後、10分の休憩をはさんで質疑応答が行われた。話題がタイムリーだったこともあり、多数の方からの質問が相次いだ。 中には、超タイムリーな「かの国」問題も発せられ、鹿取氏も公人としての立場から、「これは飲み会の席で」としなやかに受け流した場面もあった。

質疑応答終了後に、次回講演のご紹介、集合記念写真を撮影して今回の講演は終了になった。歴史館の外ではラグビーの練習、サッカーの試合が行われており、多目的ホールからはブラバンが演奏する曲が漏れ聞こえてくる。

桜吹雪 舞う中、思わず考えた。 「この平和な光景が未来永劫続くために我々は何をすべきか?」 今回の鹿取氏の講演によって、市民として我々の役割は何か、という問いを突きつけられたことを厳然と意識させられた土曜の穏やかな午後だった。

(文責 川瀬由紀夫 55回生)

2017.04.04

第58回湘友会セミナーのご案内

  • 日時: 2017年10月14日(土) 14:00 開始 16:00終了予定
  • 場所: 湘南高校 歴史館スタジオ
  • テーマ: 健康寿命を延ばすために ~認知症、脳血管障害 (脳梗塞、脳出血など) を識る、防ぐ、治す~
  • 講師: 間中 信也氏 (全34回生)
  • 対象: 湘南高校 卒業生、在校生、教職員
  • 参加費: 無料
  • 事前申込: 不要

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【講演内容】
いちばん、なりたくない病気、それは認知症です。

なぜならば大切な「自分の尊厳」が失われるからです。永年築き上げてきた記憶・判断力・意欲・人格が徐々に崩壊するからです。「物忘れ」は認知症の第一歩ですが、誰にでもある「ど忘れ」とそっくりです。ど忘れ物忘れの違いをまず知りましょう。

認知症といっても様々な原因があります。慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症など、治療できるもの (cureable demantia)、脳梗塞のように防げるものもあります。

認知症の原因として 一番有名なのが「アルツハイマー病 (ア病)」でしばしば認知症の代名詞になっていますが、ア病はアミロイドβの脳内蓄積によることが明かになってきました。恐ろしいことにその蓄積はア病発病の20年前からすでに始まっています。

認知症は不可避かというとそうとも限りません。生活習慣の改善である程度、予防ができます。薬物治療法も開発されました。もし家族が認知症になったら社会的支援が重要です。

本日は認知症の「あれや・これや」と脳梗塞、脳出血などの脳血管障害を分かりやすくお話しします。このレクチュアがヒントになって皆様の健康寿命が伸延することを心から祈念しております。

【現職】
温知会間中病院統括院長

【略歴】
1959年 県立湘南高校卒業
1965年 東大医学部卒業
1972年 日本脳神経外科学会専門医
1981年 東京大学助教授
1986年 帝京大学市原病院脳神経外科教授
1993年より温知会間中病院院長就任。頭痛外来開設。インターネットの「頭痛大学」により頭痛啓発活動を実践している。
2005年 頭痛学会専門医
2012年 日本頭痛学会名誉会員、日本頭痛協会代表理事

【著書】
『頭痛大学教養学部』(先端医学社)など多数。

【学会等役員 (主たるもの)】
日本脳神経外科学会評議員、日本頭痛学会名誉会員、日本頭痛協会 名誉代表理事、国際頭痛学会・米国頭痛学会正会員

【主な研究領域】
脳神経外科学、神経生理学、頭痛学

2017.03.07

第50回湘友会セミナー報告

テーマ: 「湘南高校OBのモータースポーツ列伝]
日時: 2017年 2月 4日 (土) 13:30~16:00
講師: 坂井一敏(50回生)・ 永嶋 勉(50回生)土屋武士(66回生)
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セミナーのあらまし

湘南高校 (含む湘南中学) のOBでモータースポーツにかかわった人達について、それぞれの業績を以下の 4部構成で紹介。

その1  3回生 片山 豊氏とモータースポーツについて 日産自動車入社に至る経歴・第一回全日本自動車競走大会・豪州ラリーの模様を日産自動車のアーカイブにより紹介。

その2  50回生 私 (坂井) が参加した1985年 第一回国際ツーリングカーレース・フォルクスワーゲンゴルフポカールカップレースの模様を動画により紹介。

その3  50回生 永嶋氏が開発したGT3車両 レクサスRCFの開発内容について開発のコンセプト 風洞実験 ボディー開発 国際自動車競技連盟 (FIA) の認証作業 等の実務を説明。

その4  66回生 土屋氏が2016年度全日本GT300選手権を取るに至った経緯とモータースポーツに対する考え方についてオリジナル資料「想いが生んだ奇跡」を元に紹介。
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感想

今回のセミナーは、私 坂井が片山 豊氏の業績を調べた事をきっかけにして、片山氏のみならず永嶋氏、土屋氏の業績を合わせて高校関係者およびOBに知っていただきたいというコンセプトで企画したものです。

企画とセミナーの発表のみを考えれば、坂井が、片山氏、永嶋氏、土屋氏 の経歴と実績について説明しても良かったのですが、今回は、永嶋氏 土屋氏の実績を考慮し、両名には、直接講師として参加していただきセミナーの参加者に語ってもらう形式を取りました。永嶋氏 土屋氏は、それぞれ本業が忙しく、セミナーの内容については、メールによる打ち合わせのみであり、 3名が顔を合わせたのは、セミナー当日の11時というあわただしい準備でした。セミナーの趣旨や全体の構成についても十分な調整が出来なかったために、セミナーとしては、少々まとまりに欠けるものになってしまいました。

しかし、企画した私 (坂井) としては、参加されている聴衆の方に、分かり易い内容を紹介するよりも、モータースポーツが持っている生の迫力やライブ感を直接伝えることを優先し、特に永嶋氏、土屋氏のパートについては、本人が興味を持っている事柄や仕事に取り組む考えを、そのまま表現してもらう形式を取りました。

事実、永嶋氏 土屋氏は、2017年シーズンを戦う準備の真っ最中に参加してもらった訳ですが、セミナーとしての洗練度は低くとも、生の迫力があったのは、永嶋氏 土屋氏が、現役で戦っているその本人であるというところが、一番大きかったと思います。

また、坂井が説明した片山氏のパートも、本やネットの情報ではなく、片山氏のご子息に、直接取材をして集めた情報なので、表面的な話ではなく、現役の永嶋氏、土屋氏のパートとは異なる歴史の面白さがあったと思います。
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反省点

手間をかけて実車 (メルセデス・ベンツ AMG GT) まで用意をしましたが、セミナーそのものの準備に時間を取られてしまい、用意した車をセミナーの前に直接説明をする時間が十分に取れませんでした。特に現役の高校生の方には、直接車の説明をしたかったのですが、運転席に座ってもらったところで終了となってしまったのが残念です。

また、用意したコンテンツは、動画を中心にしたものが多かったのですが、当日午前中にプロジェクター等の機材を確認するのではなく、事前に歴史館内の機材を確認しておくべきであり、事前の確認作業にひと手間かけていれば、セミナーもだいぶ聞きやすくなったのではと思います。

なお、最後に、粗削りで、洗練されていなかったセミナーの発表に対して、ご協力いただいた石井委員長およびセミナー委員の方々、およびお忙しいところセミナーに参加をしていただいたOBの方すべてに対し、感謝いたします。

坂井 一敏 (50回生)

2017.02.15

第49回湘友会セミナー報告

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糖尿病とシニアライフ(認知症予防を含めて)

38回生 伊藤 眞一 (前 全国臨床糖尿病医会会長)

■現在70歳以上では4人に1人が糖尿病と言われている。また糖尿病患者は正常人に比較して1.2倍認知症になりやすいと言われている。そこで今回その両疾患について湘友会の方々に筆者の40年にわたる臨床経験に基づいて講演させていただいたところ、多くの湘友会の方々が参集していただいた。2時間の講演の中からみなさまが特に関心を持った5点についてまとめとして報告させていただく。
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糖尿病 ポイント1 (血糖コントロール)
糖尿病と診断された患者が、どうしたら正しく治療を受け、合併症を起こさず快適な生活を送れるのか。その答えは、検診やドッグを積極的に受け、定期通院し、必ず現在の状態(病態)を把握することと、そのデータをすべてきちんと記録しておくこと、の2点につきる。診療を受ける際に糖尿病手帳を必ず支給してもらい、それを必携すること。手帳を開くと見開きに、体重、血圧、血糖、尿糖、尿たんぱく、HbA1c(過去2,3ヵ月の血糖値の平均値を示す検査で目標値7.0%以下)、(表1図1参照)脂質を書き込む表がある。すべての項目を記載し、主治医にその場で質問し、その意味を理解し、データから自分自身の病気を知る。


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糖尿病 ポイント2 (眼合併症)
糖尿病は、血中の糖が増え(高血糖)、全体の血管が徐々に傷つけられて起こる病気(糖尿病合併症)です。
ある患者さんは、検診で10年前に糖尿病と言われたが、症状もないので放置。最近、新聞の字が見にくいので眼科を受診した。「重症の糖尿病による視力障害。失明するかもしれない」と言われ、慌てて私のところに来ました。
人間の目はカメラと同じ構造です。角膜がフィルター、水晶体がレンズに相当し、網膜がフィルムの役目を果たします。
網膜には多くの血管が走り、酸素、栄養を運んでいます。糖尿病になると、その血管が破れて網膜症が発症します。光を感じる部分は直径1.5ミリのほんのわずかな網膜の一部の領域で、ここに病変が及んで自覚症状が出ます。視野に蚊のような小さな異物が見える (飛蚊症)、視野の一部が見えなくなる (視野欠損)、ものが見えなくなる (視野低下) などです。
自覚症状があてにならないので、無症状でも最低1年に一度眼科でみてもらわないと、網膜症は発見できません。自覚症状が少ないときにレーザーで網膜の病変の進行を抑える、という極めて有効治療法を受けることも可能です。進行してしまうと、よい治療法がなくなります。
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糖尿病 ポイント3 (アルコールについて)
「酒は百薬の長」と言われますが、本当でしょうか。適量の範囲内なら、ストレス発散作用がある、いろいろな人と知り合いになれる、仕事の上で腹を割った話ができるなど日常生活の上でよい点があり、善玉コレストロールを上げるなど医学的にもよいこともあります。
医師は体への影響を考える場合、次の3つのレベルに分けています。
①大酒家・・・・・毎日、日本酒5合相当を5年間以上飲み続けている
②常習飲酒家・・・毎日、日本酒3合相当を5年間以上飲み続けている
③機会飲酒家・・・宴会などの機会があれば飲み、1週間に日本酒2合相当。
①群は大変危険、③群は悪影響なし、と判断しています。アルコールはカロリーが高く、肥満を招き、血糖値を上昇させ、大量のインスリンを消費するので血糖値が下がりにくくなるため、糖尿病の人は注意が必要です。飲酒は血圧を上昇させ、①②群は③群に比較して10歳の加齢に相当する血圧値を有してしまいます。特に男性では飲酒は脳卒中の危険因子として確立されています。
さらに、飲酒は痛風の原因である尿酸も上昇させます。脂質異常症からみると、中性脂肪を上げやすい。つまみを多く取りながら飲むと、塩分とエネルギーを取りすぎ、肝臓に脂肪がつきやすい、などの弊害を十分認識してほしいと思います。「飲むべきか、飲まざるべきか」―――。①②群は「否」ですが、③群に対しては正解を持たず、ケース・バイ・ケースで対応しています。
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認知症のポイント1 普通のもの忘れと認知症のもの忘れの違い (表2)
(表2)


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認知症のポイント2
MCI (Mild Cognitive Impairment) 軽度認知障害より早期の治療開始 (図2)
認知症の多くを占めるアルツハイマー病は認知症として発症する20年前より脳にアミロイドβという物質が、脳細胞の外側に蓄積し(老人斑)、また「タウタンパク」という異常タンパクが神経細胞のなかに凝集し「神経原線維変化」を起こし、やがてこれらが、神経細胞を死滅させる。10~20年前より脳にこのような病変が起こっているが、未だ認知症とは診断できないグレイゾーンをMCIと呼び、その臨床像は以下の3点である。

  1. 本人または家族が明らかな記憶の低下を感じている。
  2. 記憶力の低下は年齢だけでは説明できない。
  3. 日常生活は支障がない。

このMCIの時期から早期治療すると図の青線のように「完治できないが病状を遅らせること」ができる。

文責  伊藤 眞一 (38回生)

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2017.02.12

第52回湘友会セミナーのご案内

  • 日時: 2017年4月15日(土) 14:00 開始 16:00終了予定
  • 場所: 湘南高校 歴史館スタジオ
  • テーマ: ポピュリズムと国際社会の直面する危機
  • 講師: 鹿取 克章 (かとり よしのり)(全44回生)
  • 対象: 湘南高校 卒業生、在校生、教職員
  • 参加費: 無料
  • 事前申込: 不要

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【講演内容】
世界に衝撃を与えた「イギリスのEU離脱」「トランプ大統領の誕生」という2つのサプライズ。

グローバリゼーションが加速する一方、その潮流に対する反感も高まり、国際社会は今、さまざまな課題を抱えています。

今後とも多様性を受け入れ、寛容な姿勢を維持できるか。内向きになることなく、国際関係を強化できるか。国際的な政治闘争のエスカレーションをコントロールできるか……。

刻一刻と変化する国際社会の最前線で活躍されてきた鹿取克章さんが、世界、そして日本が直面する問題を解説。また、マスメディアやインターネットから情報があふれる中、私たちひとりひとりはどのような問題意識を持ち、何を警戒すべきかなど、一個人としての役割についても、お話しいただきます。

【講師略歴】
1950年生まれ、東京都出身。
1973年 一橋大学経済学部を卒業し、外務省に入省。
ミュンヘン総領事、大韓民国大使館公使などを経て、
2004年に領事局長、2005年には外務報道官に就任。
イスラエル大使、ASEAN担当大使、インドネシア大使などを歴任し、
2014年 退職。
現在は、外務省参与、東京ガス株式会社社外取締役、一般財団法人 CHIKYUJIN留学生支援機構会長などを務める。

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