第82回湘友会セミナー報告「最近のキューバと、キューバでのボランティア事情」

日時: 2019年10月19日(土) 14時~16時
場所: 湘南高校歴史館スタジオ
テーマ: 最近のキューバと、キューバでのボランティア事情
講師: 松尾 光 氏 (47回生)

キューバの地方都市サンクティ・スピリトゥスで日本語講座を開講。その3年間の記録をお話しました。47回生の同期生やキューバに興味を持った方々が参加されました。

<講演概要>
Ⅰ. 最近のキューバ、キューバ雑感
キューバ在住中に日本テレビの番組に出演した録画、朝日新聞記事を紹介。

キューバはアメリカの経済封鎖でまともな経済活動ができません。外貨獲得は観光、次に医療(医者を海外に派遣すること)などです。オバマ大統領の時に国交樹立でつかの間の期待(2015年)が高まったが、トランプ大統領の制裁強化で大ピンチ。

日本とは国交樹立、90年の友好関係を築いている。去年、移民120周年。

Ⅱ. 社会主義の生活
・キューバ人は日本とは異次元の生活 9割が公務員で年収平均4万円。
1. ものを捨てません。 2. 2~3分で済む買い物もおそらく10倍の待ち時間を覚悟しなければなりません。非効率な仕組み。 3. とにかく物が無く品揃えが無い。 4. 移動が大変。

インフラが脆弱で想像を絶します。
・物やお金に固執しなければストレスレスの生活!!価値観が変わる。
1. 医療、教育は無償。介護の心配ない。各都市に老人の養護施設。 2. 中米で一番治安が良い。 3. 社会主義国家。首都ハバナで全てが決まる。監視社会。

・いまもカリスマ(ホセマルティ、ゲバラ(没後50年)フィデルカストロ)が絶対。お金をかせぐために社会主義を捨てる人が多いのも現実。

Ⅲ. キューバでのボランティア事情
・日本経済新聞に技術者として勤務。定年後の挑戦に国際交流基金に申請したらとても良いリアクション。「キューバへ行こう!!!」人生挑戦だ。日本語教師をキューバでやろうと思い立つ。3年で持続可能な日本語講座を作ることが目標。

・社会主義国の壁にあたるが、何とか目標は実現。学習者は2年間で100人近く。私の趣味で日本から持ち込んだピアノでの音楽レッスンや日本料理披露を交えて毎日忙しいが楽しい日々。週3回の授業やテストに忙しい日々。子供たちに日本語の歌を教えたのも楽しい思い出。若い学習者の素朴さまじめさに癒された。でも彼らのモチベーションが何かは最後まで答えが出なかった。大使館の方や日本の国際交流基金の方の献身的な支援を受けた。しかし、社会主義国の壁で3年目はビザが伸ばせなかった。厳しい現実だが成果はあったと信じたい。

Ⅳ. キューバでの出来事
・地方大学で日本語や日本文化を研究する講座の枠組みを作る (キューバで2校目)。
・在キューバ日本国渡邊大使、サンクティ・スピリトゥスに来る。
・2016年11月 フィデルカストロの死
・2017年9月 巨大ハリケーンイルマ (Huracàn Irma)
・2018年4月 新しい指導者デアスカネルと遭遇、握手

・最後に感激する出来事があった。キューバ全土の日本語弁論大会で入賞者6名のうち教え子たちが4名入賞。日本大使公邸に生徒たちが招待される。

最後まで学んだ5人の若者。日本に留学をさせたい願いがあるが地方都市では許されない現実。最後の1年は試練だったが、この経験を活かし挑戦を続けたい。ご静聴ありがとうございました。

松尾 光 (47回生)