湘友会セミナー(第18回)報告

第18回湘友会セミナーは、6月7日(土曜日)に湘南高校歴史館スタジオで開かれました。講師は内海恒雄さん(31回生) で、湘南高校で日本史の授業を受けたり、クラス担任としてお世話になったり、あるいは、顧問だった歴史研究部の部員だったりした方たちを中心に、折からの本降りの雨の中、50人を超える聴講者が集まりました。

この日のテーマは「鎌倉の魅力の再発見~鎌倉の世界遺産登録をめぐって~」で、内海さん自作のプリントや世界遺産候補となった史跡を紹介する資料(地図など) などを使いながら、熱のこもったお話が聴けました。内海さんは、湘南高校の後も数校の県立高校に勤務されて、県立高校の校長を退職された後は、それまでにも増して鎌倉の史跡の案内や世界遺産登録に向けての運動に務めてこられました。

セミナーでは、そのような内海さんの歩みを踏まえたお話が展開され、「ここ(湘南高校歴史館) で話をすることができて、とても嬉しい」とか、「教え子の顔を見て、安心して、思っていることを言える」といった言葉も交えながら、終始、楽しそうな様子でお話を進められていたことが、印象に残っています。

鎌倉についてのお話では、鎌倉にある多くのお寺を考える際に、その背後の「山」があってこそのお寺(鎌倉の寺は「山」が命)、という捉え方を紹介されました。そこから、大仏のような個々の史跡だけをアピールするのではなく、「緑がつながった」景観全体を「面」として守っていこう、という姿勢が、鎌倉の世界遺産登録に向けて、これからも大切にしていくべき方針だろう、とのことでした。

また、鎌倉が多くの人々に親しまれたり愛されたりすることの意味は十分に認めつつ、今後の鎌倉の在り方としては、「国際文化都市」や「歴史公園都市」を目指すことの意義や重要性も語られました。そして、これから先も鎌倉が魅力のある存在であり続けていく上で、「その土地(鎌倉や藤沢・逗子・横浜など)に住む人たちが誇りを持って守ろうとする(支えようとする)」という意識や行動が不可欠であることを、力説されていました。

以上が、内海恒雄さんによるセミナーの報告です。内海先生、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。

報告者:伊藤泰史(51回生、歴史研究部OB)