2018.02.02

第63回 湘友会セミナーのご案内

  • 日時: 2018年 3月31日(土) 13:30 ~ 15:30
  • 場所: 湘南高校 歴史館 スタジオ
  • テーマ: 目からウロコの身体技法 ~スポーツ・健康の常識、くつがえります~
  • 講師:  淺川 俊彦 氏 (57回生)
  • 対象: 湘南高校 卒業生、在校生、教職員
  • 参加費: 無料
  • 事前申込: 不要

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【概要】

目からウロコの身体技法
   ~スポーツ・健康の常識、くつがえります~ 」

私たち (57回生) が中学生の頃は、運動部が練習中に水を飲むと「スタミナが奪われる」ということで、炎天下長時間の練習中も給水はご法度でした。それがちょうど湘南高校在学中に「最先端の知見」として、生理食塩水を摂取することが望ましいとされるようになり、より多様なミネラルが含まれるゲータレードやポカリスウェットが販売されるようになりました。同様に、弾みをつけたり誰かに押してもらう柔軟体操が「伸張反射により、かえって柔軟性が損なわれたり筋損傷につながる」ということで、ストレッチ体操が普及し始めたのもその頃でした。

あれから30年以上がたち、その間のスポーツ・運動科学の進展には目覚ましいものがあります。いまやすっかり定着したストレッチングも

  • 「床や地面に腰を下ろして十数分、
    せっかく高まった筋温がすっかり低下してしまう」
  • 「スタティック(静的)な状態で関節可動域を大きくしても、
    動的な状態では役に立たない」
  • 「広がりすぎた可動域がかえって関節挙動の不安定さを生み
    故障につながる場合もある」
  • 「そもそも運動パフォーマンスを高めるには
    伸張反射の利用が不可欠なので、反射を抑えるウォームアップはナンセンス」

など様々な批判がされるようになりクールダウンにシフト、ウォームアップではダイナミックストレッチや伸張反射を積極的に拾う「ブラジル体操」にその位置を譲り始めています。

また、運動への科学のアプローチそのものへの反省も生まれています。科学の世界は対象を細分化して客観的に分析するのが常ですが、単関節だけで成り立つ運動というものは存在せず、必ず全身の連動と細かな姿勢制御を伴います。これまでの運動科学は、その「全体」があまり見えていなかったのではないか、というものです。

さらに、分析で得られた「客観的事実」をそのまま意識によって運動に置き換えようという営み自体に無理があることも明らかになってきています。「主観的感覚」とのズレこそに、運動学習の肝があるのです。

そうした中で、欧米でむしろ注目されるようになったのが心身一如の東洋的身体観です。こころとからだが一体に、つねに「全体」として働き、力を発揮していくという捉え方です。ヨーガや禅の呼吸法がメンタルトレーニングに取り入れられ逆輸入されているのは皆さんもご存じだと思いますが、もっと直接的に運動パフォーマンスを高める身体技法が実はたくさんあるのです。そこでは「意識」のありようも“身体操作的”なものではなく、“受容感覚的”なものを大事にします。また操作意識を外すために、繰り返し からだに刻む「型」が重視されます。武術だけでなく、お茶やお花などのお稽古ごとの作法や盆踊りなどの芸能の中にヒントはたくさん詰まっています。

今回はそうしたものの中から、皆さんの日常生活の改善運動パフォーマンスの向上に役立つものを、

実際に体験していただきながらご紹介していきたいと思います。ジャージとまでは申しませんが、できれば素足になれる動きやすい格好でお越しくだされば幸いです。さあ、一緒に常識を問い直しましょう!

□ 右と左、なるべく同じように動かせた方が良い?
□ 足首・膝をしっかり伸ばし腿を高く上げるのが良いフォーム?
高橋尚子野口みずきの腕振り、どっちも真似しちゃダメ?
□ 地面は強く蹴った方が速く走れる?スクラムで地面を押すのはつま先?
□ 疲れてきたら踵を上げてあごを引く?
□ ウォームアップは正しい動きをしっかり意識するのが大事?
□ 直立二足歩行は700万年かけて完成された?
□ 魚類や爬虫類の背骨は側屈、哺乳類は前後屈?
□ 倒されないためには力を入れて踏ん張る?
□ 箸と茶碗・ナイフとフォーク、食事の作法がスポーツに関係?

【講師紹介】

淺川 俊彦 氏 (57回生)。1963年生まれ。
湘南高校在学中は陸上競技部・社会科学研究部に所属。

1982年 宮城教育大学入学。
在学中に演出家・竹内敏晴氏の薫陶を受け、身体の深淵に目を開かれる。また和太鼓・民俗舞踊に出逢い、民族歌舞団「ほうねん座」の座員としてプロの舞台に立つ。

1988~2000年、埼玉県飯能市「自由の森学園」体育科教員。
1997~98年、東京学芸大学音楽科の非常勤講師として和太鼓の授業を担当。
演技者兼演出家として、フランス・ブラジルなど4度の海外公演を行う。

2000年より教職を離れ 横浜国立大学大学院にて「身体論」「表現の教育」について研究。

2002年より東京大学教育学部附属中等教育学校の保健体育科教諭として現場復帰。

陸上部顧問に就くと、身体技法の活用と生徒による自主的・民主的運営のシステム構築により、たちまちレベルアップ。練習日を週に3日しか設けないにもかかわらず、支部予選どまりだったチームが都大会の常連となり15年間で5人の優勝者が出たほか、駅伝チームも含め関東大会・全国大会に出場を果たすようになる。

2005年以降は教員生活の傍ら、Jリーガーをはじめとするアスリートの個人指導や、各地で「合理的走歩行」「伝統的身体技法」の講師も務める。

研究仲間の関西大学教授・小田伸午氏と協力して制作したDVD「走りの進化論~なぜ力感があると速く走れないのか~」は、これまでのランニング指導の常識を覆すものとして、陸上競技関係者以外からも注目を集めた。