第69回湘友会セミナー報告 「アーユルヴェーダ入門 ~健康で美しく生きるために~」

2018年 9月 8日(土)、湘南高校歴史館にて、英国アーユルヴェーダカレッジ日本校校長としてご活躍中の山田泉さん (旧姓:石井 55回生) を講師に迎え、「アーユルヴェーダ入門 ~健康で美しく生きるために~」をテーマに湘友会セミナーが開催されました。

■イントロダクション

高校卒業以来、はじめて母校を訪れたという山田さん。慶応義塾大学を卒業され、UCLAに留学してMBAを修得し、銀行でキャリアウーマンとして多忙を極める日々を過ごし、その後、経営コンサルタントとして起業されたそうですが、17年前に仕事を通じてアーユルヴェーダに出会ったそうです。

それ以来、アーユルヴェーダの世界に深く関わり、ご自身がアーユルヴェーダを実践することで、それまでの生活が一変し、現在はセラピストの養成などアーユルヴェーダの普及に取り組んでおられるとの事で、こうしたご自身の経験も踏まえて、アーユルヴェーダの魅力や実践法について、講義していただきました。

■アーユルヴェーダとは…

まず、山田さんから「アーユルヴェーダは、今から約5千年前にインド・スリランカで発祥し、伝承された世界最古の伝統医学です。サンスクリット語で『生命』をあらわす『Ayuh』と『科学・知恵』をあらわす『Veda』から成り、『生命の科学』『寿命の科学』を意味し、さらには『生命を楽しむ方法を教える科学』『健康で美しく生きるための知恵』との意味をも含んでいます。」と紹介されました。

■アーユルヴェーダの目的

続いて山田さんから、「アーユルヴェーダは医学の体系ですが、西洋医学のように、単に『病気を診断して治療する』だけのものではなく、予防医学、健康法としての理論があり、日常生活の中で食事や睡眠、呼吸法などを実践することで健康寿命を伸ばし、生涯を自立的に過ごせることを目的にしています。」と、その目的が説明されました。

ちなみに、インドやスリランカでは、西洋医学の医師とアーユルヴェーダの医師が共存しているそうですが、内科や外科などの普通の診察科目に加えて「不思議な病気の治療」や「強精法」といった独自な診察科目があり、占星術やパワーストーンを治療に用いるなどスピリチュアルな側面があるのが特色だそうです。

■アーユルヴェーダの実践 一日の過ごし方

活力を持って目覚め、心地よく眠りにつく、そんな生き生きした日々を送るための方法について、アーユルヴェーダでは、「ディナチャルヤ」として一日の生活リズムを定めているそうです。具体的には「日の出の96分前に起床する」「白湯を飲む」「吉相物を眺める」「目覚めのヨガ」「原則として昼寝は禁止」その他、呼吸法や食事、瞑想など、40数項目にも及ぶとのこと。また、季節に応じた過ごし方を定めた「リトゥチャルア」もあるそうです。

山田さんも、日々これらを実践して健康を保っているそうですが、要は、規則正しい生活リズムで睡眠を充分に取ること、しっかりとした呼吸で体内に酸素を取り込むこと、楽しいものを見聞きするなどしてストレスをためないことなど、いずれも理にかなってものだと感じました。

■アーユルヴェーダの実践 体質を知る

アーユルヴェーダでは、身体を単なる物質とはとらえず、脈や呼吸、体温調節など身体の変化や心の状態の変化に、目には見えないエネルギーが働き、身体を支えていると考えられているそうで、それが、下の「ワータ」「ピッタ」「カパ」の3つです。

① ワータ(風)~運動のエネルギーをあらわす 冷たい、乾燥、軽い、動く
② ピッタ(火)~消化のエネルギーをあらわす 温かい、やや油性、軽い、鋭い
③ カパ(水) ~結合のエネルギーをあらわす 冷たい、油性、重い、安定

この3つのエネルギーは全ての人が持っており、どのエネルギーをどれくらい持っているかのバランスの違いで、各個人の体格や性格などの特徴が形成されるそうです。その特徴は生まれながらに「体質(プラクリティ)」として決められている、と説明されました。

ここで、参加者に対して山田さんから「体質診断表」が配られ、質問に回答することで、
それぞれに自分の体質が、「ワータ」「ピッタ」「カパ」のどれに当てはまるのかを知り
ました。

「思ったとおり」という方もいれば「何だか違う」と意外との感想も…。山田さんからは「自分の体質を知ること、そして、自分かどんなアンバランス、病気になりやすいかを予測し、予防することか大切です。」と説明がありました。

また、「体調チェックシート」も配られ、参加者が自分の身体面、精神面での状況を把握しましたが、山田さんからは「3つのエネルギーの本来のバランスが崩れ、消化力が弱まると、身体の中に『アーマ』という未消化物・毒素が蓄積され、やがて病気に至ってしまいます。バランスを正しい状態へと戻すには、例えば『冷たい』には『温かい』など反対の性質を持つエネルギーを摂ることが必要です。また、アーユルヴェーダのオイルマッサージには、この毒素を排出する効果があります。」と解説されました。

■ 健康で美しく生きるために…

山田さんには、こうして限られた時間で、アーユルヴェーダの魅力や実践法の一端を披露していただきましたが、終了後には、アーユルヴェーダと病気の治療との関係や、ヨガとの違いなどについて質疑応答も活発に行われるなど、参加した約30名の方々にとって、「健康で美しく生きる」ためのアーユルヴェーダについて、興味と関心を深める貴重なひとときとなりました。お忙しい中、講師を引き受けて下さった山田さん、本当に有難うございました。

そして、今回の山田さんの講義で、アーユルヴェーダについてより詳しく知りたくなった方は、どうぞ山田さんの学校のHPをご覧ください!
英国アーユルヴェーダカレッジ日本校HP http://www.ayurvedacollege.jp/

■ 講師 山田泉さん(旧姓:石井)プロフィール(55回生)

慶應義塾大学UCLA経営大学院(MBA)卒業。日系銀行勤務を経て起業。
再生医療やバイオセンサーの事業化に取り組むかたわら、予防医学、健康増進に関心が深まり、アーユルヴェーダと出会う。
現在は、英国アーユルヴェーダカレッジ日本校校長として、セラピストの養成をはじめ講演活動やサロンのプロデュース等を行っている。
著書に「思いが変われば運命が変わる」(東宣出版)

■さいごに… 「湘美会 向山武志さん(55回生)による作品紹介」

セミナー終了後、「湘美会有志展Ⅳ」に素描作品を展示していた、美術部OBで講師の山田さんとは片瀬中学校の同期生でもあった向山武志さん(55回生)から、ご自身の作品について解説をしていただきました。

末廣 好男 (55回生)