第79回 湘友会セミナーのご案内 「新しい時代の創作 ―― 書き手と売り手と読み手の摩擦」

  • 日時: 2019年 7月 6日(土) 14:00~16:00
  • 場所: 湘南高校 歴史館 スタジオ
  • テーマ: 新しい時代の創作 ―― 書き手と売り手と読み手の摩擦
  • 講師: 向井 湘吾 氏 (全83回生)
  • 対象: 湘南高校 卒業生、在校生、教職員
  • 参加費: 無料
  • 事前申込: 不要

【概要】
その昔、作家というのは一部だけで、大多数の人間は読者であった。しかし今は、誰もが書き手になれる時代。インターネットにさえ接続できれば、すべての人が作家になれるのである。

創作をして、作品を発表することについて、これほどハードルの低かった時代はかつてない。インターネット上のさまざまな無料・有料コンテンツの数は膨大なものである。書き手はプロ・アマを問わず増え続けている。それに、「出版不況」という言葉が生まれてから久しいが、 一年間に出版される書籍は、およそ7~8万点。実は、6万点代であった1990年代と比べて、点数自体はむしろ増加している。

発表される作品の種類は、これからもますます増え続けることだろう。

一方で、種類が増えるということは、顧みられない作品も増えるということ。それらは弱肉強食のルールに従い消えてゆくのが正解なのか。そうは思わない。

実際には、「アマチュア作品」や「あまり売れない本」にこそ、読書や創作を楽しむ鍵が隠されている。それは、作品を取り巻く人々の間には、意識のズレが存在するということと関連している。

書き手と売り手と読み手の思惑は、必ずしも一致しない。

出版社の目的とは何か。作家の目的とどこまでズレがあるのか。それを知った上で読者としてどのように本を選べばよいか。また、自身が作品を発表するとしたら、気を付けるべきことは何か。出版社での勤務経験もある小説家として、そして一人の読者として、三つの異なる視点から解説する。

また、作家としてどのような心構えで、どのような執筆生活を送っているかも、あわせて紹介する。

【講師プロフィール】
向井湘吾(小説家):2008年湘南高校卒業。剣道五段。高校在学中は剣道部と数学研究部に所属。
東京大学教養学部を卒業後、出版社勤務を経て、『お任せ! 数学屋さん』で第2回ポプラ社小説新人賞を受賞し、2013年に作家デビュー。
著書に「トリプル・ゼロの算数事件簿」シリーズ(ポプラ社)、「算額タイムトンネル」シリーズ(講談社)、 『リケイ文芸同盟』(幻冬舎)などがある。