第96回湘友会セミナー報告 講談「秀麗の富士物語 赤木愛太郎校長一代記」

■第96回湘友会セミナーが開催されました。
日時: 2023年 6月24日(土) 14時~16時
場所: 湘南高校歴史館スタジオ
テーマ: 講談「秀麗の富士物語 赤木愛太郎校長一代記」
講師: 講談師 藤瀬琴龍(フジセキンリュウ) 本名 藤瀬 茂氏 (全38回生)

■セミナーの講演概要
琴龍師匠は、この日、真っ赤な着物・羽織り姿で、歴史館スタジオに登壇された。
「時は、いつなんめりか……明治6年の赤木愛太郎の誕生……」に始まって、湘南高校、いや湘南中学が大正9年に、藤沢の地に、神奈川県では五番目の中学校として誕生したところから始まった!(この学校ができるまでは、第一、第二・・・などの数詞で始まる校名が普通であったにもかかわらず、この学校は創立時から「湘南中学」であり、現在も引き続き「湘南高校」である。)

ご存じのように、校歌「秀麗の富士を西に高く……」は山田耕筰作曲、北原白秋作詞であり、この校歌は、創立後約13年たってから、当時音楽を担当していた鏑木欽作先生のご努力にもより、日本の詩歌の重鎮により作られた。湘南高校に向かい、坂をのぼってくる誰もが(現在とは違ってまわりは広々と広がっていたので、富士山も今よりもっと雄大に見えていたかもしれない)、富士山をながめながら、校内にはいってくる。

戦時中は、二番の歌詞「自由の研学、思えよ智徳……」などの歌詞が、軍部からにらまれた時代もあったようだが、赤木先生による「この歌詞は、単に現在の日本だけのことを言っているのではなく、世界に広がる人材育成までも視野にいれてつくられている」という言葉に守られて、制定当時と変わることなく、現在にまで歌いつがれている。

戦後、女子生徒が入学し、男女共学になるなどの多少の変遷はあるけれど、県下随一の高校として、創立以来、現在までも県内で高校入学を目指す学生たちの憧れの学校のひとつである。この学校を卒業して、世界に羽ばたいた著名人の功績は、この歴史館に展示されている。そして、創立90周年のときに、記念に建てられたこの歴史館で、中学から高校への変遷、浦和高校や、米国の高校との交流、数々の著名な先輩方の功績、ノーベル賞を受賞された根岸英一氏の業績などにふれることができる。今後も新しい歴史を重ねていくことだろう。

私のように、あのすばらしい運動会に参加したくて入学したなどというものもいるけれど、これからも、湘南は、県下随一の高校として、大いに発展していくことがますます実感される一席であった。

石井はるみ (38回生)