- 日時: 平成29年11月11日(土) 14:00~16:00
- 場所: 湘南高校歴史館
- 講師: 関 佳史氏 (48回生、サッカー部OB、㈱tvkコミュニケーションズ代表取締役社長)
- テーマ: 『ローカルメディアの役割 ~テレビ神奈川での挑戦の日々~』
24回生から92回生まで幅広い年齢のOBに加えて、サッカー部現役生徒45名が参加し、合計113名の出席となった。
テレビ神奈川に37年間勤めた関氏は、まず、テレビ神奈川が置かれている厳しい経営環境の説明をした。
東京キー局に囲まれたテレビ神奈川は、「独立局の雄」と言われながらも、売り上げ規模はキー局の40分の1以下、視聴率では大きな差をつけられていた。
そこで、この差を埋めるため、音楽番組など独自の道を開拓してきた。現在のテレビ神奈川のブランド戦略は「ヨコハマ開放区」で視聴者に開かれた放送局を目指す。
編成戦略は「エリア」と「超個性」。地域情報番組や神奈川県のプロ・アマスポーツを応援する一方、音楽番組、バラエティ、ドラマなどエッジの効いた番組を全国に発信している。
関氏は30歳代中盤の1990年頃から音楽番組の製作担当を13年間務めた。当時のレコード業界は1980年代よりプロモーションビデオの製作を開始し、テレビ神奈川は、その受け皿として日本でオンリーワンの音楽ステーションとなっていた。“演歌、アイドルをOAしないJPOPのテレビ局”という方針のもと、番組の製作を行うとともに多くのロック系アーテイストの育成に携わった。
1997年には前年にミリオンヒットを記録したばかりのPUFFYを朝の番組「SAKU2」のレギュラーMCに起用し、その後20年継続する番組に育てた。
そんな音楽番組担当時代を、関氏が過去に制作した音楽番組の懐かしい映像などを織り交ぜながら振り返った。
その後、放送局の放送全般の指揮をとる編成部長に就任。その傍らでバラエティ番組、ドラマなどの製作にも注力する。関東、中部、関西の独立局と協力し、製作委員会方式で番組制作を行うフレームづくりを行う。
スポンサーからの収入だけでなく、コンテンツそのものから収益をあげるため、DVD、書籍、ネット配信、国内外への番組販売など多岐にわたる販売ルートの開発に取り組んだ。
2006年から開始した「イヌ、ネコシリーズ」は現在まで継続している。30分のドラマと映画の公開というパターンで話題をつくった。民間放送が時代劇から撤退した2013年には北村一輝主演の「猫侍」で時代劇に進出しスマッシュヒット作品となった。
地域に根ざした放送局が神奈川県だけでなく、全国へ情報発信していくことを目指し、また、東京キー局に対してカウンタープログラム的手法で生き残りを図ってきたと、テレビ神奈川の戦略を締めくくった。