湘友会セミナー (第6回) 報告

         

「湘友会セミナー」第6回は、6月8日(土)に開催されました。講師は36回生の米岡泰さんで、演題は「携帯電話おもしろ学」。題名通り、とても面白い内容で、参加者が30名と少なかったのは大変もったいなかったなぁと思います。米岡さんは卒業後、電電公社(後のNTT)に入社され、直ちに技術部門で、時代の最先端の移動サービスを次々に開発されてきた無線通信技術の専門家です。

セミナー開始、冒頭で「皆さんは今、電子レンジの中にいます!」と言って聴衆を驚かせましたが、これにはもちろん訳があります。米岡さんは、ポケットベル、コードレス電話、災害対策電話、列車電話、船舶電話、自動車電話、衛星電話、携帯電話と殆ど全ての開発を担当してきました。それらのあらゆる電話サービスが、別々の電波を強力に人々に向けて発信しているのですから ── まさに我々は電波の渦の中!という訳ですね。

電子レンジの中にいるのに、脳が煮えないのはなぜか?」「電波が弱いからだよ」と言われても、何だか心配です! しかし、重ねて「世界中の人々が煮えてないので、大丈夫!」と米岡さんは保証してくれました。信じるものは救われる?

この分野は学問的に言葉のみで説明するのが難しいようで、「電波を受信できるのは何故か?」という説明のため、高校の物理教室から音叉を1対借りてきていて、片方を鳴らすともう片方が共鳴するのを実演されました。「これが音波の発信と受信です。レゾナンスです。この原理を応用すると、音波だけでなく、電波でもレゾナンスを行うことができるのです」と説明されましたが、それでもまだハードルは高く、卒業生である聴衆の頭脳をもってしても「???」状態であった模様です。

他にも、アナログとデジタル、マイクとスピーカー、音波と電波、周波数とアンテナなど難しい専門用語を平易に解説して頂きました。「ケータイを持った誘拐犯は何故直ぐ捕まるのか?」「絶海の孤島で007は助かるか?」「日本のケータイは世界一なのに何故売れないか?」など興味深い謎も、米岡さんは次々と分りやすく解き明かしてくれました。

世界でもパソコン内蔵のケータイは日本と韓国だけ」「一本指で打てるワープロは日本韓国だけ」「テレビ電話やカーナビや音楽伴奏までやるのも日本だけ」「詐欺や出会い系やなりすまし犯罪もデジタルデバイドを起こすのも日本独特」だそうです。「ケータイ通話に気を取られて、駅のホームから落ちたり、自動車やバイクや自転車で衝突事故を起こす」のも日本だけだそうです。道交法違反ですし、気を付けましょう。

米岡さんは講演の最中に色々な不思議グッズを取り出して実演し、それらを次々と回覧しては我々を楽しませてくれました。曰く、「パタパタ」「コロコロリング」「油時計」「3次元伝送器」「蜃気楼発生器」など、世界でも米岡さんしか持っていない (であろう) お宝を見せてくれました。就中(なかんずく)、聴衆を驚かせたのはタイムマシンの実験です。今の所は精々50年ワープではありますが、彼は平然と実演して魅せました。「50年をワープするタイムマシンとは?」 ── これは当日の聴衆だけがその衝撃の「目撃」者ということにして、ここでは種明かしをしない方が良いでしょう。