- 日 時:2016年2月27日(土)13時30分~15時30分
- 場 所:湘南高校歴史館スタジオ
- テーマ:教育とジェネレーションギャップ ~「ゆとり教育世代」を育てた立場から~
- 講 師:山本 明利氏(47回生、北里大学理学部教授・教職課程センター)
湘南高校はじめ県立高校で長年物理の教鞭を取られ、現在理科教員の後進の指導にあたっている山本さんの豊富な経験に基づいたテーマでの貴重なお話を先輩・同輩・後輩 (山本さんの教え子など) 等多くの方々が熱心に拝聴、あっという間の2時間でした。
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【講演の概要】
[1] 最近のビジネス書から
- 「ゆとり教育世代」バッシングが起きている。共に戸惑う大人社会と若者たち
- 「現場指導者の声」 (某講習会より、中堅リーダーから見た20歳代半ばの後輩の印象)
- 受け身、マニュアルがないと不安、メンタルが弱い等
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[2] 「ゆとり教育世代」とは (各世代のキーワード)
- 団塊の世代 (1947年前後生まれ): 変革の世代
- シラケ世代 (1955年前後生まれ): 比較的従順
- 新人類世代 (1965年前後生まれ): テレビによる全国共通の尺度。個人の価値観も尊重
- バブル世代 (1968年前後生まれ): バブル景気時に就職
- 団塊ジュニア世代 (1972年前後生まれ): 長い不況を経験
- ゆとり教育世代・さとり世代 (1987年以降生まれ): 1998・99年改訂学習指導要領の「ゆとり教育」を受けた世代
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[3] 人格は教育と世相によって作られる
- 子供は「白紙」
- 教育は次の世代の要請を予測、世論を反映し政策として計画⇒作られる人格
- 受止め方や思考方法、言葉の文化などは世代によりかなり異なる。
- 人格形成は教育の結果。子供・若者の責任ではない。そして、ジェネレーションギャップが作られる。
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[4] 戦後の社会情勢と教育改革の流れ
- わが国の人口動態 (2014年10月の人口ピラミッド)
- 学習指導要領の変遷 (約10年毎の改訂)
- 占領軍による教育施策 (民主的教育改革等)
- 高度経済成長の時代の教育 (経済界からの提言、人的能力開発) ⇒ 反省: 受験戦争激化、落ちこぼれを生んだとの批判
- ゆとり教育のはじまり 1977年学習指導要領改訂 (ゆとりと充実、学習負担の適正化)、1989年同左 (心豊かな人間の育成、生活科、道徳教育)、1998年同上 (基礎基本と生きる力) 学校週五日制へ ⇒ 反省: ゆとり教育への批判
- ゆとり教育の見直しへ 2008年学習指導要領改訂 (生きる力、授業時数・学習内容増加)、2020年同左 (予定)
- なぜ「ゆとり教育」だったのか
- 「ゆとり教育」のルーツ 日教組の「ゆとりある学校」の提起。中曽根内閣のもと臨教審で「公教育の民営化」ということで「ゆとり教育」への流れ確立。(政治的な流れ、外圧)
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[5] 現代の若者を取り巻く環境
- 価値観の多様化: 多くの選択肢 (個人が選択を迫られる時代)、曖昧な基準 (人間関係を通じて基準を自分で作る必要)、外見への拘り等
- 学校と社会のギャップ 価値観: 学校は一元的、社会は多様。学生時代は教えてもらうのが基本 ⇒ 指示待ちの人間。社会では自ら課題を見つけ解決する能力が必要 ⇒ 指示待ちは意欲に欠けるとの評価。
- 教育が行き届かなかった部分 コミュニケーション能力の欠如 (人間関係希薄化、ソーシャルスキル不足等) 情報機器が逆にコミュニケーションを阻害。言語活動重視へ。
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[6] 上の世代から見た現代の若者
- 「周りから評価されている」かどうかを意識。自己防衛意識。叱られることに慣れていない。指示待ち等⇒「ゆとり世代」特有のことではない。「脱ゆとり」になってもこの傾向は続く。
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[7] 現代の若者の強みは何か
- 「ゆとり教育」が目指したもの ⇒ 良いところを探していく
- 強み: 優しい、仲間思い、競争より融和、ボランティア精神、情報機器操作能力等
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[8] 指導の心得 (ほめ方と禁句)
- 相手の話を聞く、信頼関係構築、相手を理解し良いところをほめる等
- 全否定しないこと
- 「頑張って」「常識だよ」「ゆとり世代だからね」等は禁句
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[9] 現代の若者とどう向き合えばいいのか
- 力を引出すには気持ちに寄添い、信頼関係を構築し、適切な評価をする事などが肝要。
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[10] まとめ
- 人格は教育と世相によって作られる
- ジェネレーション・ギャップもまた教育によって作られる
- その世代の人に責任はない
- 若い世代を理解しよう
- 時代は急速に変わる
- 自分が育てられたように、子供を育ててはいけない
- その世代の方針に沿った一貫した教育を
以上